一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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コルヒチン処理を組織培養でおこなう理由

質問者:   大学生   がべ
登録番号1521   登録日:2008-01-18
大学4年で果樹園芸を専攻しています。現在は卒論のテーマとして染色体倍加を試みています。方法としてはコルヒチン処理を行っているのですが色々論文を読んでみるといったん茎頂などを培養し、コルヒチン処理を行うことが多いようです。これはやっぱり樹体に直接行なうよりも培養時のほうが変異しやすいから、ということでしょうか? 
がべ君

質問コーナーへようこそ。卒論の実験をされているとのこと。植物体にいろいろな化合物を与える(処理を施す)場合、どのように処理すれば一番有効であ るかを考えるのは大切なことです。このような質問があるということは、さしずめ、先生からの実験指導のなかに、処理の仕方についての指示はなかったよ うですね。それとも、先生も教えてくれなかったのでしょうか。いずれにしても、新しい実験はレシピにどおりにやる料理と違って、あれこれ試してみるこ とも重要です。なぜ、intact plant に直接処理しないのかという疑問を持つのは結構なことだと思います。
確かに、コルヒチン処理によって倍数体変異株を得ようとする試みでは茎頂培養が一般に使われます。しかし、発芽直後の芽生えをそのまま使った実験もあります。がべ君の場合は、果樹を扱っているようですね。だとすると、単離して培養した茎頂と、鉢や圃場で育っている果樹の茎頂を比べた時、どちらが扱い易いでしょうか。培養茎頂を用いるもう一つの利点は組織を継続的にコルヒチンの影響下に保てることでしょう。このため、変異が起き易いと考えられます。
でも、植物の反応は種類によって全く同一ではありませんので、がべ君が扱っている果樹の茎頂に直接コルヒチン処理をした場合(或いはし続けた場合)、変 異が起きにくいかどうかは、実際やってみないとわかりません。コルヒチン処理による倍数体作成に関しては多数の基礎的、実際的研究論文がでているようですので、よく調べてみると、直接樹木の茎頂を処理した例も報告されているかもしれませんね。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2008-01-31
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