一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物の状態を表す用語について

質問者:   一般   まつかさ
登録番号1525   登録日:2008-01-20
子ども向けの科学の本の読み比べをして、紹介する活動をしています。
植物の本の時、いつも迷うので教えて下さい。
「植物のせいちょうについて」とか、「茎がせいちょうしていきます」というような文章を書くとき漢字は「生長」と「成長」どちらでしょうか?
又、「植物のせいちょうホルモン」の場合はどうでしょうか?
まつかさ様

みんなの広場へのご質問有難うございます。担当の柴岡と申します。生長と成長ですが、古くは植物関係の人は生長、動物関係の人は成長を使っていました。「植物はあまり形が変わらずにただ大きくなるような感じなので生長。動物は形を変化させながら大きくなるので成長。」というように思われていたのだと思います。少し古い本を開いてみましたが、坂村 徹先生の「植物生理学」(昭和18年)では第8章「生長、成形及び生殖」となっており、動物でいう成長を「生長、成形」と分けているようです。川田信一郎先生、八巻敏雄先生訳の「植物ホルモン」(昭和26年)ではオーキシンに当たる語として“生長素”が使われています。オーキシンなどただ茎を伸ばすだけなので、生長素がピッタリの気がして、私は植物の場合“生長”が好きです。暫くの間、植物、動物で使い分けていましたが、それでは混乱するという理由で、統一することになり、“成長”になりました(文部省「学術用語集」植物学編;昭和31年)。ということで、私は「茎が成長する」とは書きたくないので、「茎が生長する」と書いていますが、子供さんに教えるのでしたら、成長のほうがよいのかなと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2008-01-31