一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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冬芽の花芽の展開のエネルギー

質問者:   公務員   りんご
登録番号1548   登録日:2008-02-23
ハクモクレンのふかふかの冬芽を「これが咲くんだよ」とこどもたちに見せました
以前水栽培のヒヤシンスの花が咲くとき、「球根の中の栄養で咲くんだ」と説明したもので「ふーん球根がなくても咲くんだね」とすぐ納得していましたが、わたしの中では??になってしまいました

冬芽の花芽は前年の夏ごろにその頃の養分を使ってすでに形成されていると聞きました
春に開いてくる時のエネルギーはどこからくるのですか
葉芽や双葉は始め自前のエネルギーで開いて、すぐ光合成をして自活するとききました
すると花芽は光合成しないから、葉より先に咲く花は幹か根にためているのでしょうか?
りんご さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
一般に落葉樹の越冬する花芽は苞葉(あるいは苞鱗)に包まれた紡錘形や水滴状ですが、その中には基本形としてはすでにできあがった花がきちんと畳まれて収まっています。しかし、花器官の細胞はとても小さく未成熟で、花の色素や香気成分などもほとんどありません。「花芽が新しくできる」のは前年の夏から秋にかけてですから葉があり光合成も活発におこなっていて新しい花芽を作るエネルギーを供給しています。同時に、落葉して光合成ができなくなっても生きるため主にでんぷん、糖類などの栄養分を茎、根など貯めていきます。未熟な花芽が膨らんで開花するまでには未熟な細胞の成長・成熟、色素や香気成分の合成、そして最後に花弁が展開するための急速な吸水などがおこるのでたくさんのエネルギーを必要とします。これらのエネルギーはご想像の通り茎、根に蓄えられていた炭水化物が花芽に運ばれ、そこで酸化されて生み出されているのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-02-29
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