一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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光周性と街路樹

質問者:   その他   ちった
登録番号1551   登録日:2008-02-27
常々疑問に思っていたことなのですが、受験が一段落したので質問させていただきます。

植物には光周性があり、中性植物以外は固有の限界暗期をもってその生命を営んでいると思います。そこから考えると電灯が一晩中ついている道路わきや住宅街に植えてある植物は長日・短日植物であれば常に光がある状態にいるので光周性のリズムが狂ってしまうのではないかと思います。ところが私の家にあるツバキやサクラソウは季節に合わせてしっかり花を咲かせます。
そこで、以下のように疑問を持ちました。

1;上記の植物は中性植物か?
2;都市計画や家を立てるときにわざと中世植物を選んで植えているのか?
3;限界暗期が占めている花芽形成における要因の占有率が少ないのか?

よろしくお願いします。
ちった さん

受験のための勉強を終えて、本当の勉強を始めようと言うわけですね。
まず、最初に触れますが、本コーナーに関連する回答(登録番号1222)がありますので目を通しておいて下さい。

光周性についてよく勉強されておられるようなので伺いますが、例えば、月の光や星の光は植物の光周性リズムにどんな影響を与えるのでしょうか? このように問いかけてみて気がつくのは、要は、光の強さの問題であると言うことです。専門家の研究によると、例えば、イネの出穂、ホウレンソウの伸長(“とう”を出す)、街路樹の落葉などに、街路灯の光が影響を与えることは確かなようです(理屈から考えても、その筈です)。しかし、一方、街路灯による照明のメリットはありますので、実際的な問題は、その影響がどの程度のものであるかと言う点にあるのかと思います(前述の回答、登録番号1222参照)。ご参考までに書かせていただきますと、地表で受ける太陽光の強さ(太陽定数)は一平方メートル当たり1400ワット程度であるのに対し、植物の光周性に影響を及ぼす光の強さは、大まかには、一平方メートル当たり0.1-0.5ワット程度(植物の種類などにもよりますが)で、太陽光に較べると桁違いに弱いものです(他方で、光の波長の問題もあります)。

ところで、個別的な項目については、私の知っている範囲内で答えさせていただきます。
ツバキの場合は、貴方の書かれたやや固い言葉で表現すれば、“限界暗期が占めている花芽形成における要因の占有率(?)”が低いためか、温度(高温)で花芽分化が誘導されるタイプの植物に属するようです。サクラソウについてはご自分で調べてみて下さい。
都市計画においては、一般には、街路照明についての配慮がなされていると思いますが、街路樹や近辺の農作物への影響については十分に検討されているように思えません。市町村等の都市計画担当の部署に行って調べてみると如何でしょうか。

以上、すべてのご質問には答えてありませんが、ご参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2008-02-29
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