一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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チューリップの毒性は、一緒に植えた植物に影響は無いのでしょうか?

質問者:   会社員   たかこ
登録番号1553   登録日:2008-03-02
はじめまして。
趣味でガーデニングをしている者です。
年明けに父からクレソンの苗を頂いたのですが、
空のプランターが手元に無かったので、
チューリップの球根が植えてあるプランターの空きスペースに植えました。
しかしその後、チューリップには毒性があるということを知りました。
一緒に植えてあるクレソンは食べても大丈夫でしょうか?
チューリップの毒性は、一緒に植えた植物に影響は無いのでしょうか?
よろしければ教えて下さい。
たかこ さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
チューリップの「毒性」を心配しておられるようですね。ペットなどがチューリップの球根を掘り起こして食べたり、間違えて人が食べたりすると嘔吐、胃痙攣、消化不良などをおこすことがあるので、「動物には毒性がある植物」のリストには載っています。そのため「毒性がある」とされているのかもしれません。しかし、その本体は分かりません。私たちの周囲にある園芸植物にはスズラン、ポインセチア、キョウチクトウ、チョウセンアサガオなどたいへん毒性の強い植物がありますが無理に食べたりしなければ心配するものではありません。
チューリップでは花や鱗茎(球根)にはアレルゲンが含まれていて感受性の高い人に皮膚炎をおこすことが研究の対象になっています。普通の人にはそれ程問題にならないことは広く花壇に植えられていることで分かりますが、ヨーロッパではチューリップの花と接触する頻度の高い繁殖業者の間ではTulip Finger と言う皮膚炎が問題になっているようです。アレルゲンの本体はチュリポサイドという配糖体で構造が少しずつ違う数種類があります。このようなアレルゲンやその他の薬効物質、毒性物質が分泌されて近くに生えている植物に吸収されて毒性をしめすことはまずあり得ません。
あるとするならばアレロパシーといって近くの植物の生育が抑制されますのでクレッソンがうまく生育しないかもしれません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-04-04