一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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カラタネオガタマの香りについて

質問者:   自営業   忘れな草
登録番号1593   登録日:2008-04-29
庭に植えているカラタネオガタマが3メートルくらいになり、たくさんの花をつけています。花が咲くと、バナナのような甘い香りが漂い、道行く人からもよく声を掛けられます。別名をバナナツリーともいうそうですが、本当にバナナの香りがします。モクレン科の木と、ばしょう科のバナナと全く種が違うのにと不思議に思ってきました。香りの成分が同じなのでしょうか。カラタネオガタマの香りについて教えていただけたらと思います。
宜しくお願い致します。
忘れな草様

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。私ごとで恐縮ですが、昔小石川の植物園に勤務していたことがあります。園の奥のほうにカラタネオガタマが植えられていましたが、季節になる度に、匂いを嗅ぎに行ったものでした。昔話はさておいて、頂いたご質問の回答は、植物と昆虫との会話に働いている匂い成分のご研究をなさっておられる京都大学の高林純示先生(先生のお仕事については日本植物生理学会監修の“植物は感じて生きている”瀧澤美奈子著・化学同人・2008 に詳しく紹介されています)にお願いいたしました。先生は早速に調べて下さり、以下のような回答をお寄せ下さいました。ご回答の中にありますように、匂いの成分は特別な化合物ではなく酢酸ブチルのような普通の化合物ですので、系統的に離れた植物に含まれていても不思議ではないように思います。

高林先生のご回答
まずバナナ(に限らず果実)の特徴的なかおりは様々なカルボン酸エステルに由来します。酢酸イソブチルがバナナの香り成分の主成分であるとされています。酢酸ブチルなどもバナナの香りだそうです。
さてカラタネオガタマの成分としては確かに酢酸ブチルなどのカルボン酸が含まれており、そのためバナナ臭がするのだと思 われます。酢酸ブチルが主成分かどうかさらに調べる必要ありますが少し時間必要です。

高林 純示(京都大学)

高林先生からの追加ご回答
カラタネオガタマの花の中で酢酸イソブチル量が相対値で77.9パーセントを占めていて、これが原因だとおもいます。

高林 純示(京都大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2008-05-07
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