一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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合弁花離弁花のわけ

質問者:   中学生   そば
登録番号1594   登録日:2008-04-29
ツツジとアブラナを観察したのですが、合弁花と離弁花に分かれていることがわかりました。しかし、なぜそのふたつに分かれなければいけなかったのか、その理由がわかりません。ツツジもアブラナも虫媒花なので、虫の入りやすさが関係しているのですか?
教えてください。
そばー君

質問コーナーへようこそ。質問にお答えします。
花の形や色は実に様々ですね。どうしてこんなに多様性の富んでいるのか考えるととても不思議です。でもおかげで私達人間はその花の多様性を楽しみ、花によって癒されもします。花のない世界を考えたことありますか。
さて質問ですが、合弁花と離弁花がある理由ははっきりとは説明できません。しかし、花は植物にとっては次世代に生き残るための種子をつくる大切な器官ですから、花の形や色がそのことと無関係であるはずはありません。それぞれの植物は生育する周囲の環境に適応して、もっとも適した花の形を進化の過程で作り上げてきたものと考えられます。花にとって受粉(花粉がつくこと)は種子をつくる第一歩の仕事です。受粉は風媒、虫媒が一般的ですが、特殊な例としては鳥や動物などによる場合もあります。風媒よりは虫媒の方式をとる花の方が多いとされています。じじつ、花の形や、色や香り、蜜は昆虫を誘うために発達してきたものです。だから、花と昆虫の関係も多種多様です。1種類の昆虫が沢山の種類の花を訪問する場合もありますし、限られた花しか訪れない場合もあります。イチジクとコイチジクバチのように一対一と言う関係もあります。
合弁花と離弁花については、進化の上からみると合弁花は離弁花より進んだ形態であると考えられています。つまり、合弁花を持つ植物は離弁花を持つ植物より進化しているということです。花の中には離弁/合弁の中間のものも多く見られますので、植物を合弁花植物/離弁花植物で分けてしまうことはできません。これらのことにつていはすでに質問コーナーで取り上げられている過去の回答(登録番号0208,登録番号0312, 登録番号0777) を参考にして下さい。
そこで、なぜ同じように虫媒をおこなうのに、ツツジは合弁花でアブラナは離弁花かということですが、答えは分かりません。これらの花を訪れる昆虫の種類にもよるのもかもしれません。一般に風媒のためには離弁花のほうが有利です。極端な場合、花弁はないほうが良いのです。イネの場合はそうですね。合弁花を虫媒に向いています。昆虫が花の奥まで潜り込んだとき、花粉が昆虫の身体に付着する可能性は高くなります。ツツジは受粉の戦略として今のよう花の形をとるように適応進化してきたのでしょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2008-05-07