一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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アジサイの去年の枯れ花はいつ切るといいのですか?

質問者:   その他   のんこ
登録番号1603   登録日:2008-05-07
以前秋に枯れ花を切ろうとしたとき庭に詳しい方が切ってしまうと来春いい花が咲きませんよと言われたのでそのまま冬を越しました。
今は新しい緑の葉がたくさん出てきて枯れ花が汚いのですが自然に落ちるのを待つほうがいいのですか?
のんこ様

質問コーナーへようこそ。質問の内容は園芸関係のことですので、園芸関係の本を見ていただくと一番良いと思います。例えば庭木や花木の育て方に関する本など。あるいはインターネットでもいろいろ検索できます。しかし、せっかくですからアジサイの花を咲かせるための基本的なことだけは説明しましょう。アジサイの花は全ての枝につくのではなく、今年伸びた新しい枝の先につきます。新しい枝は昨年の花の下方の葉の脇にできる側芽(脇芽)が伸びてできるものです。古い花は切りとらずに放っておいても新芽は伸びてきますので、花がつかないことはありません。しかし、確実に良い花を咲かせようとすれば、花が咲いたらすぐ切り取ってしまい切り花として楽しむことでしょう。切り取る場所は枝の先端の花から下方の2節目の側芽のすぐ上が良いといわれています。翌年はこの側芽が伸びて花をつけます。すぐ花を切り取るのが嫌なときは、花が終わりかけたなと思った時に切ってください。夏を越してから枝をきると、花芽が形成されませんので注意してください。
 ところで、植物にとって花をつけることは、大変なエネルギーを要します。たくさん花が咲いた木は翌年は花が少ないことはよく見られる現象です。これは花をたくさんつけることで植物が体力を消耗してしまったからです。花だけでなく実が成り、種子まで作らせてしまうと、疲労こんぱいになります。植物の成長は葉でき茎がのび枝ができる栄養成長とよばれる過程と花芽ができ、開花して結実する生殖成長とよばれる過程からなりたっています。二つの過程は別れているいる場合も、平行して重なる場合もあります。一年性の草本植物の場合、花が咲いて結実したらそれで一生が終わり枯れてしまいますが、花芽ができたら片っ端からとってしまうと栄養成長が進み、温度条件さえよければ、長く育てることができます。チュウリップのような球根植物で球根をとるためには、花は早いうちにつみとってしまいます。そうすると、栄養を花の方へまわす必要がないので、球根での養分の蓄積に使われることになります。毎年花もたくさん咲いて、人が十分楽しみ、木も勢い良く成長してくれるためには、それぞれの植物に応じていろいろ園芸上の工夫があるようです。ふつうは、あちらがたてば、こちらが立たずということになってしまいます。
 また、花芽のできる時期ですが、私たちの周囲にある樹木では、花芽は一般的に夏から秋にかけて形成されますので、枝をきる時期も大切です。花芽形成の問題は質問コーナーで過去にもたくさん扱っていますから、学会ホームページ質問コーナーの語句検索のところで「花芽形成」と入れて検索してください。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2008-05-14