一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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コナラのドングリ

質問者:   会社員   ヒッピー
登録番号1611   登録日:2008-05-13
コナラのドングリが春になって芽生える頃、子葉の色が赤色だったり緑色だったりと個体によって色が異なりますが、この違いはどこから来るのでしょうか。
ヒッピー さん

ご質問をありがとうございました。
少し遅れましたが、今回は、森林総合研究所植物生態研究領域の主任研究員である北尾光俊博士に回答をお願いしました。ご参考にして下さい。

北尾光俊博士からのご回答:
光合成にはクロロフィルやカロテノイドが吸収する青色や赤色の光が利用されるため、葉はこれらの光合成色素が吸収できない緑色の光を反射しています(このため、通常葉は緑色に見えます)。
コナラでは、新芽が赤色に見えますが、これは表皮細胞がアントシアニンを蓄積することで赤い光を反射(青から緑にかけての光を吸収)していることによるもので、このことは、過剰な光から光合成器官などを防御するために役立っているものと考えられております。子葉も、発芽当初は赤色を呈していますが、発達に伴いクロロフィルが蓄積してきて赤色から緑色に変化します。
野外のコナラの芽生えを観察すると、発芽の際にいわゆる双葉(子葉)は見られず、地上にいきなり緑色の本葉が現れ、赤色の子葉は地下で栄養分を供給し続けていますので、見ている葉が子葉か本葉かは十分な観察が必要です。

なお、本コーナーには関連する幾つか質問が寄せられておりますので、それらもご参考にして下さい。

北尾 光俊(森林総合研究所植物生態研究領域)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2008-05-26
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