一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ホウセンカの葉

質問者:   小学生   はるなみやび
登録番号1627   登録日:2008-05-25
理科のじゅぎょうでホウセンカを育てています。
かんさつしていて、ふしぎに思ったことがあります。

ホウセンカの子葉は丸いのに、どうして本葉はギザギザなんですか。
はるなみやび さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ホウセンカを育てていて、すごくおもしろいことに気がつきましたね。
どんな身近な植物でもよくかんさつするとふしぎなことがたくさん見つかります。
でも、はるなみやびさんのぎもんにお答えするのはとてもむずかしいことです。
葉の形に、子ども型とおとな型がある植物があります。有名なのはツタの葉で、わかい葉には切れ込みがありませんが、おとなの葉にはふかい切れ込みがあり、子ども型とおとな型でかたちがちがっています。ヒイラギを知っていますか。葉のふちがギザギザでするどい針のようになっていますね。さわるととてもいたい葉です。よくかんさつすると、ヒイラギのわかい葉もふちは丸く、針のようになっていません。これも、子ども型とおとな型でかたちがちがうよい例です。このようなことはぜんぶの植物ではみられませんが、子ども型は植物が何おく年もかけて進化(しんか)するまえのむかしの形のなごりだと考えられています。ところが、ほとんどの植物では種子(たね)のなかにはそのなごりがのこっています。種子のなかには植物の赤ちゃんができています。ホウセンカのばあい赤ちゃんは、2まいの葉、1本の茎(ほんとうは「はいじく」といいますが)とそれにつづく根でできています。この赤ちゃんの葉が子葉で、子ども型の葉なのです。植物は自分の赤ちゃんにミルク(栄養)をあげることができませんので、親植物は赤ちゃんのなかに栄養分をたくさん貯めておきますが、その貯蔵庫(ちょぞうこ)として子葉をつかっています。ダイズ、ピーナッツやクリなどの食べるところが子葉です。まるまると太っていますね。人の栄養にもなります。食べるとき、2つにわれるのですぐに分かりますね。ついでに、子葉以外に栄養を貯めている種子もあるのでおぼえておいてください。イネ(お米)やトウモロコシ、カキ(の種子)などは「はいにゅう」というところに栄養を貯めています。芽をだす(赤ちゃんが育ちはじめ、大きくなる)ときに子葉や「はいにゅう」のなかの栄養分をつかいますが、栄養分をつかいきるまえに子葉をみどり色にするか、本葉をだして自分で栄養をとるようになります。
さて、本葉はどうしてギザギザなのか? 葉にはふちにギザギザのあるものとないものがありますね。また、ギザギザも細かいもの、大きなもの(ヤツデなど)などいろいろあります。このようなちがいは、長い長い時間をかけた進化の結果なのです。ですから、子葉、子ども型は先祖型(せんぞがた)、原始的(げんしてき)なかたち、本葉、おとな型は進化したかたちの葉ということになります。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-05-28