一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

白から黄色の花の変色のしくみ

質問者:   教員   hyla
登録番号1640   登録日:2008-06-05
現在、生徒とスイカズラの花の色と訪花昆虫について調べています。

スイカズラは夕方咲き、1日たつとクリーム色に、更にもう一日たつと黄色くなり落花します。これは、受粉とは関係なく、時間と共に起こる変化だということを実験して確認しました。また、切り花にして室内におくと、つぼみのままでも黄色くなることがあるので、ストレスによるホルモンが関係しているのではないかと推測されます。

また、黄色くなったスイカズラの花の色素を取り出してみると、水で抽出されベンゼンでは抽出できなかったので、フラボノイド系の色素だと判断しました。

では、黄色の色素は、開花直後の白い花の時期には花弁中に存在していたのでしょうか。それとも、時間と共に形成されたのでしょうか。また、フラボノイドの色調は「白から黄色」と本にありました。これは、どのような条件で変色するのでしょうか。更に、そのとき発色している色によって吸光特性は変化するのでしょうか。

よろしければ教えてください。
hyla様

“みんなのひろば”へのご質問有難うございました。頂いたご質問の回答を、花の色がご専門の名古屋大学の吉田久美先生にお願いしましたところ、以下のようなご回答をお寄せ下さいました。吉田先生のご回答の中にもありますように、いろいろと調べて下さったのですが、スイカズラの色素については分からなかったとのことです。
また、ご回答の最後にありますように、サンプルさえあれば調べて下さるくとのことなので、もしご希望であればご連絡下さい。

吉田先生のご回答

色の変わる花は数々知られていますが、その機構がきちんとわかっているものは多くないようです。酔芙蓉が赤くなる場合アントシアニンの生合成が夕方以降急速に進むことがわかっていますが、黄色い色素には、いろいろあり、カロチノイド、オーロンが代表的なものです、あるいは、ある種のフラボノール類も塩基性条件下や金属錯体となると黄色になります。また、ポリフェノール類は、酸化されると黄褐色になっていきます。

水で抽出されたとのことですが、フラボノイドは、種類にもよりますが、あまり水溶性ではありません。もちろんベンゼンで抽出されないので、カロチノイドの可能性は低いかとは思います。

たとえば、スイカズラの花弁色素がフラボノイド系の物質だと仮定した場合にも、無色の前駆物質が貯まっていて、その後ある酵素が発現して黄色色素に変換される可能性も考えられますし、細胞(フラボノイドの場合貯蔵されているのは液胞ですが)のpHの変化の可能性もあります。

申し訳ありませんが、文献を調べた限りでは、私にはスイカズラについては、わかりませんでした。どんな物質が花弁に貯まっているかを経時的に分析することは、花びらさえ入手できれば比較的簡単にHPLCで可能なので、もしさらにご興味がおありでしたら、再度ご相談ください。

吉田 久美(名古屋大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2008-06-12
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内