一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物と光の関係

質問者:   高校生   ラビ
登録番号1642   登録日:2008-06-06
私は今、家庭菜園に取り組んでいて、もっと早く、または立派に成長しないものかと思い、今回質問させていただきたいと思います。
植物の成長に太陽の光は欠かせないものですが、太陽の光の色を色付きセロファンなどで変えてしまうと、植物の成長に…例えば、葉が大きく育ったり、逆に萎れてしまうとかなど、何か影響が出るのでしょうか。
植物の成長に色は関係するのでしょか。また、植物にとって有効な光の色はあるのでしょうか。

拙い文ですみません。よろしくお願いします。
ラビ さん

植物の成長に対し太陽光は、光合成と、成長を支配する光信号の二つに作用しています。植物は光合成によって、根から吸収した無機養分と水、さらに大気中の二酸化炭素(CO2)とから酸素を発生して、植物体を構成している全ての成分を合成しています。
 
太陽光はヒトの目に感ずることのできる可視光(波長400-700ナノメーター(nm))とこれより波長の短い紫外線と、波長の長い赤外線とから構成されています。太陽の可視光は波長が短い光から長い光の順に、紫、藍(アイ)、青、緑、黄,橙(だいだい)、赤色となっていますが、これが全体としてヒトの目に白色光として感じます。
 
光合成は葉の細胞の中にある葉緑体で進行しますが、葉緑体で光合成のために太陽光を受け取る色素はクロロフィールです。植物の葉が緑色に見えるのは、白色の太陽光を構成する7色のうち、クロロフィールが緑の色のみを吸収、利用できないためです。このため、太陽光(白色光)のうち、緑色以外の光がクロロフィールに吸収され、吸収されない緑色が葉から反射するため、植物の生育しているところが緑色に見えます。そのため、緑色を吸収するフィルターの下で植物を栽培しても、光合成の効率は余り低下しないはずです。

光合成によって植物の成長に必要な全ての成分が合成されますが、発芽、開花、茎の伸張、気孔の開閉、葉緑体の細胞内移動、光屈性のような植物の生活環、代謝に必要な信号にも光が関与しています。これにはフィとクロームが関与する赤―赤外光、クリプトクローム、フォトトロピンが関与する青―紫外光があります。光の関与する生活環制御で、一日の明、暗の割合による開花制御(長日植物、短日植物)がありますが、これは花の栽培で開花時期の制御に用いられています。

家庭菜園で光の色を調節して生育をよくする一般的な方法はありませんが、植物にできるだけ太陽光が当るよう、いろいろ工夫するのが、第一歩であるように思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2008-08-07
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