質問者:
教員
やむ
登録番号1644
登録日:2008-06-07
理科の指導書では,ツユクサは光合成ででんぷんの生成を行わないことになっているのですが,実験するとでんぷん反応が現れます。みんなのひろば
ツユクサのでんぷん反応について
①ツユクサでは,光合成によるでんぷん生成が行われているのですか?
または,
②光合成によってでんぷんを生成するが,すぐに分解して糖にしてしまうのでしょうか?
お教えください。
やむ さん
ご質問をお寄せ下さりありがとうございました。
今回のご質問には、植物のデンプンについて詳しい新潟大学の三ツ井先生から回答をいただきました。ご参考にして下さい。なお、明暗条件による違いや、他の植物と比較したときの反応の程度の違いなどにも気をつけて実験をしてみて下さい。
(三ツ井先生からの回答)
理科の指導書では光合成でデンプンの生成を行わないことになっているツユクサにデンプン反応が見られたとのこと、実際に実験で調べてみることの大切さが実感されますね。実験結果は、ツユクサの緑葉で確かにデンプン生成が起こっていることを示していると考えられます。
植物は光エネルギーを利用して炭酸同化を行います。最初、三炭糖という最も単純な糖ができ、その後、葉緑体内でデンプンが生成されるか、あるいは細胞質でショ糖が生成されます。葉緑体内で生成されたデンプンは必要に応じて、一般的には夜になると分解されて、ショ糖に変換されエネルギーや炭素骨格を必要とする組織や貯蔵組織(イネの穂など)に輸送されます。同化産物がデンプンの形をとって葉緑体内に堆積するような葉を澱粉葉といいます。一方、デンプンをほとんど生じず、ショ糖や単糖を蓄える葉もあり、この種の葉を糖葉といいます。岩波生物学辞典では、“デンプンのほとんど生じない葉(単子葉類)では・・・”と記載されています。ツユクサは単子葉類なので、貴方が見られている理科の指導書に“ツユクサは光合成でデンプンの生成を行わない”と書かれたのでしょう。しかし、単子葉類だからその葉でデンプンを生成しないということはありません。ただ、緑葉に蓄積するデンプン量の程度は植物種によって異なります。一般に単子葉類ではその蓄積量が少ないのは確かです。同じ植物体でも調べる組織、時期(若葉か老葉か)、昼夜や生育環境によってもデンプンの蓄積量は変わります。
これからも色々なデンプン反応実験を試みてください。新たな発見があるかもしれません。
三ツ井 敏明(新潟大学農学部応用生物化学科)
ご質問をお寄せ下さりありがとうございました。
今回のご質問には、植物のデンプンについて詳しい新潟大学の三ツ井先生から回答をいただきました。ご参考にして下さい。なお、明暗条件による違いや、他の植物と比較したときの反応の程度の違いなどにも気をつけて実験をしてみて下さい。
(三ツ井先生からの回答)
理科の指導書では光合成でデンプンの生成を行わないことになっているツユクサにデンプン反応が見られたとのこと、実際に実験で調べてみることの大切さが実感されますね。実験結果は、ツユクサの緑葉で確かにデンプン生成が起こっていることを示していると考えられます。
植物は光エネルギーを利用して炭酸同化を行います。最初、三炭糖という最も単純な糖ができ、その後、葉緑体内でデンプンが生成されるか、あるいは細胞質でショ糖が生成されます。葉緑体内で生成されたデンプンは必要に応じて、一般的には夜になると分解されて、ショ糖に変換されエネルギーや炭素骨格を必要とする組織や貯蔵組織(イネの穂など)に輸送されます。同化産物がデンプンの形をとって葉緑体内に堆積するような葉を澱粉葉といいます。一方、デンプンをほとんど生じず、ショ糖や単糖を蓄える葉もあり、この種の葉を糖葉といいます。岩波生物学辞典では、“デンプンのほとんど生じない葉(単子葉類)では・・・”と記載されています。ツユクサは単子葉類なので、貴方が見られている理科の指導書に“ツユクサは光合成でデンプンの生成を行わない”と書かれたのでしょう。しかし、単子葉類だからその葉でデンプンを生成しないということはありません。ただ、緑葉に蓄積するデンプン量の程度は植物種によって異なります。一般に単子葉類ではその蓄積量が少ないのは確かです。同じ植物体でも調べる組織、時期(若葉か老葉か)、昼夜や生育環境によってもデンプンの蓄積量は変わります。
これからも色々なデンプン反応実験を試みてください。新たな発見があるかもしれません。
三ツ井 敏明(新潟大学農学部応用生物化学科)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2008-06-12
佐藤 公行
回答日:2008-06-12