一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物で二酸化炭素を多く気孔から吸収する代表的な植物名とその吸収する面積

質問者:   中学生   梨樺
登録番号1663   登録日:2008-06-21
中2の梨樺と言います。
学校で探究というものをやっており、私はそのテーマを“地球上にある二酸化炭素を化学的に減らす方法を考案しよう”としました。

それで仮説を“植物が二酸化炭素を吸収する気孔から多く二酸化炭素を吸収するようにすれば、少しは二酸化炭素が減らせるのではないか?”としたのですが、どんなに調べても、気孔が大きな物の植物名とその面積がのっていませんでした。

ちなみに、私が今考えている上の仮説の実験方法は

①まず、その気孔が大きな植物を調べる。
②その植物を暗い部屋に持ち込み、葉に袋を被せ、二酸化炭素の量を測る。
③光を当てて、②測った二酸化炭素の量とどれほど異なっているかを調べる。

です。よろしくお願いします。
梨樺 さん

このコーナーに質問をありがとうございます。タイトルにある“二酸化炭素を多く気孔から吸収する代表的な植物名とその吸収する面積”について直接お答えできませんが、下に書くことを参考にしてください。

まず、これは大変重要な探求のテーマだと思います。
表現にただ一つ分かりにくいところがあります。“化学的”とありますが、植物がやることも、結局のところ、“化学的”なことと理解されているのですね。

次に、一般的なやり方のことですが、まず「仮説」をたてて、それを「観察」や「実験」で確かめることにより、「真実(より確かなこと)」を知ろうとするのは“科学的”と呼ばれる方法ですね。そして、「観察」や「実験」で確かめることを「検証」すると言いますね。「仮説」はきちんと「検証」できるものであることが必要ですので、そんなふうに考えることにしてください。

さて、あなたの「仮説」で、“気孔から多く二酸化炭素を吸収するようにすれば”とありますが、どのような方法でこれを実現しようとしているのですか。気孔の大きな植物を探しているようですから、地球上にそのような植物を増やそうとしているのですか。それとも何らかの方法で植物を改造しようとしているのですか。ここで、「気孔の大きい植物と気小さい植物を比較すると、気孔の大きい植物の場合が二酸化炭素を吸収する量が多い」と言いかえると、具体的で分かりやすい仮説になるかもしれません。

ところで、気孔の大きな植物と言っても、(1) 気孔をつくっている細胞の大きさと開口する気孔の孔の大きさとの関係、(2) 植物の葉の上での気孔の分布や数(一定の広さの葉っぱあたり気孔がいくつあるかなど)、(3) 気孔が開いているか閉じているか、(4) 細胞が二酸化炭素を吸収したり放出したりする力の大きさなどのいろいろな問題がかかわってきますので、気孔の大きさを“二酸化炭素を吸収する能力”に結びつけることには多少のむずかしさがありそうにも思えます。それに、最終的には、植物のからだ全体、そして植物の一生を考える必要がありますね。

そんなわけで、根本にたちかえって考えてみると、一体、植物はなぜ二酸化炭素を吸収するのでしょうか。植物には二酸化炭素を吸収するはたらき(光合成)とこれを放出するはたらき(呼吸)がありますね。もちろん、二酸化炭素を吸収するはたらきには光が関係しますね。そして、吸収する二酸化炭素の量が放出する二酸化炭素の量を上回ったときに、植物は生長するわけですよね。このように考えてくると、二酸化炭素の吸収量を知る簡単な目安は“生長”だと言うことになりませんか(例えば、乾燥重量です)。そして、もしかしたら、生長の早い植物の中に気孔が大きいかまたは気孔の数が多い植物があるかも知れませんね。

最後に、もう一つ確かめたいことがあります。それはどのようにして袋の中の二酸化炭素の量を測るかと言うことです。しかも、場合によっては、違った種類の植物について比較しなければなりませんね。検証の決め手はここにかかっていますね。

以上、少し長くなりましたが、計画されている実験の問題点について書かせていただきました。分かりにくいところがありましたら、あらためて質問してください。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2008-06-30
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