一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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バラの切花について

質問者:   高校生   きーこ
登録番号1673   登録日:2008-06-28
バラの切花は道管に細菌が詰まりやすく長持ちしない原因の一つだといいますが、道管の太さやそこに詰まる細菌の大きさは何ミクロンぐらいあるのですか。
また切花にすると根がないため水の吸い上げは悪くなると思いますが、葉がついていれば光合成はできるのですか?
きーこさん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。切り花がすぐ萎れてしまったり、花の首の部分が曲がってしまったり(ベントネック=曲がり首)するのは水の 吸い上げがうまくいかないことが主な原因です。植物体の主な水の通路はご存知のように導管です。導管による水の輸送については別の質問(登録番号1613)に対する回答を読んで下さい。導管の直径は植物の種類や年齢、部位によって一様ではありませんが、だいたい100μm(マイクロメーター:1/10mm)位だと思って下さい。他方、バクテリアのサイズはこれも様々ですが、もっとも一般的なバクテリアは10μmです。ところで、水揚げがわるくなる主な原因は導管が詰まることによるもので、これを導管閉塞(どうかんへいそく)と呼んでいます。導管内に空気(気泡)が入ると水柱が途切れることになり、水の流れが中断してしまいます。また、氷ができたりしても起きます。もう一つはバクテリアの繁殖によって文字通り導管が詰まることによっても起きます。このような導管閉塞はバラの切り花だけでなく他の花でも見られることで、花き栽培・販売業者はいろいろな方策を講じて水揚げがよくなるよう工夫しています。生け花をなさる方はよくご存知だと思います。バクテリアの繁殖を防ぐためには抗菌剤などが使われます。微生物による導管閉塞は切り花だけでなく、栽培しているいろいろな植物でもみられます。導管に感染したバクテリア(カビの場合もあります)は最後には導管壁を侵食し、導管を壊してしまうこともあります。なお、バラの切り花の導管では特にバクテリアが詰まりやすいかどうかは分かりません。花瓶の水がよごれていたりするとバクテリアの繁殖は高まるので、やはり、水は早めに交換してやることですね。バラの花でも開いて散るまで楽しむことができます。水の吸い上げは根がなくても茎の切り口から十分に行われます。もちろん葉の気孔からの蒸散があるからです。(1613参照)ただし、茎をきってから間を置くと切り口から空気がはいり、気泡によって導管内の水柱が中断されてしまいます。茎を水中できってやるのはそれを防ぐためです。なお、切った枝でも葉がついていれば光合成は行います。光合成は水と二酸化炭素と光があれば行われます。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2008-07-02
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