一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物の葉における水分移動

質問者:   教員   becky
登録番号1683   登録日:2008-07-06
ある高校の入試問題で、着色した液体に葉を茎ごとつけると着色した水分が移動し、葉が着色していくのですが、葉の縁部分が着色するとのことなのですが、その辺がわかりません。蒸散から考えると、道管が着色するので、葉脈がある部分が着色していくのではないでしょうか?すいませんが、教えていただけないでしょうか。
becky 様

“みんなのひろば”へのご質問ありがとうございました。着色した水を吸わせて何処を通るかという実験は、お金がかからないし、簡単なので、高校生のころから経験があります。当時は赤インクが普通に使用されていましたので、これを薄めて使っていました。茎のついた葉の茎の切り口をこの着色液に付けますと、まず、茎の道管の中を着色液は上昇します。茎の道管は太いので、茎の道管の着色は肉眼で観察出来ます。
茎を切って横断面を顕微鏡で観察しますと、道管が赤く染まっているのが分かります。
ヒマワリのような、葉でポリフェノ-ルを盛んに合成している植物では、葉の合成したポリフェノールは篩管を通って運ばれています。篩管を通って運ばれているポリフェノールは塩化第ニ鉄溶液に反応して緑色を呈しますので、茎の切片を塩化第ニ鉄溶液で処理しますと、道管は赤、篩管は緑と染め分けることが出来ます。勿論、着色液は葉脈中でも道管を通って運ばれますが、葉脈は枝分かれをして細くなりますので、肉眼では着色が見えにくくなります。でも葉脈の横断面を顕微鏡で観察すれば、葉脈の道管が赤く染まっているのが分かる筈です。葉脈の先は葉の縁まで届いており、ここに排水構造というものがあります。着色液はこの排水構造から外に排出されますが、葉の縁が染まっているというのは、この排水構造から排出された着色液がそこで濃縮されているものと思います。顕微鏡を用いて観察して見て下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2008-07-09
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