一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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貝割れ大根の種

質問者:   小学生   ぴか
登録番号1717   登録日:2008-07-30
私は、自由研究で貝割れ大根の観察をしているんですけど、種は、どうして発芽するんですか?発芽する仕組みを教えてください。
ぴか さん

質問コーナーへようこそ。大歓迎です。さて質問のことですが、お答えする前に質問に使われている言葉についてちょっとだけ説明しておきましょう。まず、「種」という漢字ですが、生物学では「たね」のことは「種子(しゅし)」といいます。「種」という漢字は生物の分類の単位をあらわす言葉で「しゅ」とよびます。一般には「たね」でいいのですが、そのときは「たね」とひらかなで書く方がよいでしょう。でも、科学のことばとしては「種子」と書いたほうが正確です。もうひとつは、「どうして」という問いかけです。この問いかけはそのままだと、「なぜ」という理由をきいていることになります。科学はふつう理由を正しく答えることはできませんし、また、それは科学の目的ではありません。あなたがいっている「どうして」という問いかけはたぶん「どのようにして」という意味なのだと思います。だから、回答は「種子はどのようにして発芽するか」という問いにたいしてすることにしましょう。
[回答]
まず、種子の作りを簡単に説明します。植物の種類によって形はいろいろありますが、大きく3つの部分からできています。外側に種皮(しゅひ)、内側に胚(はい)とそれをかこむ胚乳(はいにゅう)です。種皮はふつう固く、おもに中の胚を保護する役割をしています。胚は成長が一時止まっている赤ちゃんの植物です。胚乳は栄養分で、発芽した赤ちゃん植物が一人前になって、自分で栄養を合成(光合成といいます)できるようになるまで、それを供給します。種子のなかには胚乳は退化してしまって、栄養分は赤ちゃん植物の葉(ふたば)の部分(子葉:しようといいます)に貯えられるものもあります。私たちが米、大豆など食品として食べているのは、このような種子が貯えている栄養分なのです。カイワリダイコンの種子は胚乳が退化してしまっています。だから、栄養分はふたばに貯えられています。
さて、発芽とは一時成長の止まっている胚が再び成長を始め、種皮を破って赤ちゃん植物がでてくることをいいます。発芽はふつう適当な温度で水があればはじまります。完熟した種子は乾燥しているため、成長に必要な水分がたりなくて胚は成長を一時とめているのです。だから、水を与えると成長をはじめます。しかし、植物の種類によっては、胚の成長のじゃまをするホルモンがあったり、また、反対に成長を助けるホルモンがなかったりするため、水を与えてもすぐ発芽できないものもあります。カイワレダイコンの種子は水を与えるとすぐ発芽をはじめます。胚が成長するということは、赤ちゃん植物が大きくなる(のびる)ということですから、そのいきおいで、やはり水を吸ってやわらかくなった種皮が突き破られるのです。ふつうは胚の根(幼根:ようこんといいます)が最初にでてきます。
なお、質問コーナーにはこれまでに種子の発芽やカイワレダイコンについてのいろいろな質問がよせられ、回答されていますので(特に、質問登録番号0964、登録番号1158、登録番号1242、登録番号1440)、参考にしてください。内容が難しい場合はご両親などに説明してもらってください。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2008-08-11
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