一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物がよく育つ光の色は?

質問者:   小学生   パオちゃん
登録番号1718   登録日:2008-07-30
 自由研究で、光の色を変えることで植物の育ち方がどう変わるかを調べています。インゲン、はつか大根で、調べています。自然光。色セロハン(赤、黄色、青、緑)の4色をかけたもの。光を遮断したもの。で実験していますが色によっての違いはあまり見られません。このまま調べていて違いが出てくるものなのでしょうか?
パオちゃん さま

太陽の光は私たちの目には色がついていないように見えます。しかし、それでも朝早くや、夕方には空が赤く(朝やけ、夕やけ)、また、虹(にじ)が出たときの色から、太陽の光が紫(むらさき)、藍(あい)、青(あお)、緑(みどり)、黄(き)、橙(だいだい)、赤(あか)の7色からできていることがわかります。上のそれぞれの光の色は波長の短い方から長い方への順序ですが、太陽光には、ヒトの目に感ずることのできるこれらの色の光の他に、ヒトの目には感じない、しかし、害作用をする紫外線と、同じく目には感じない、熱作用を示す赤外線も含まれています。

太陽光は植物が発芽、生長するため、さらに、光合成作用によって大きくなるために、そして植物が大きくなって花をつけたり、実をつけたりするのにも光が必要です。植物が大きく成長するために必要な光合成は、太陽光のうち、みどり色を除き、どの色の光でも同じ効率で進行します。しかし、紫外線、赤外線は光合成に有効ではありません。植物の葉が私たちの目にみどり色に見えるのは、光合成を進行させる葉のクロロフィールとよばれる色素がみどり色の光だけを吸収せず、葉の表面で反射した光によってみどりにみえるためです。(もし、クロロフィールが全ての目に見える色を使うことができるとすれば、葉は真っ黒に見えるでしょう。)

太陽光は光合成以外に、発芽、光が来る方向に植物を曲げる、植物の一生で大切な節目となる花をつける、咲かせるなども、決めています。このようにして光が植物とって信号となり、確実に種子を残せるようにする役割も非常に大切ですが、このために必要な光の強さは光合成に必要な強さに比べると非常に弱くても充分で、これには、あか―赤外線、あおー紫外線の色の光が有効です。

いろいろの色フィルムを貼ったコップの中で、どの色の光がコップの中の植物に当たっているかは、みどり色のフィルムでは、太陽光のうち、みどり色以外の全ての色の光がフィルムによって吸収され、みどり色の光だけが通り抜けて植物にあたることになります。みどりの光は光合成に利用できない光ですが、みどり色のフィルターがどれくらい完全に他の色の光を通さないようにしているかによって、光合成の効率が影響されるでしょう。他の色フィルムの場合でも同じように、フィルムの色以外の色の光がフィルターによって吸収されてしまいます。

光の色の効果は比べるときは、芽生えの成長のいろんな特長をよく観察することが大切です。発芽するかしないか、根、茎のそれぞれの成長、最初の2枚の葉(子葉(しよう)とよびます)の成長、子葉のみどり色になる程度、次の葉の成長、茎がまっすぐに伸びるか、光の方向に伸びるか、曲がるか--------など、いろんなところをよく観察してください。そして、何か変わったことが見つかれば、何度も繰り返し試してみて、必ず同じ変わったことが見つかるかを調べてください。今までに見つけられなかったことを発見するには、これが絶対に必要です。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2008-08-11
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