一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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草花の突然変異実験のまとめ方

質問者:   高校生   きこ
登録番号1729   登録日:2008-08-05
突然変異による草花の形質の変化を調査しています。本来の品種より色が濃くなったもの、薄くなったもの、草丈が短くなったものなど見ただけで5〜6系統ぐらいの変化の種類、それらの株数、開花時期などを記録しています。この研究は、どのようにしてまとめたら良いのでしょうか?代表的変化の様子や各系統の全体における割合などは考え付きましたが、これ以上は思いつきません。何か良い方法があったら教えてください。
きこ さん
質問コーナーへようこそ。歓迎します。
[回答]
突然変異を調べているということですが、書かれていることから判断すると突然変異ではないようですね。ただ単に変異を調べているのだと思います。突然変異の説明は高校の教科書に記載されているはずですから、もう一度読み直して下さい。植物の形態は環境によっても大きく影響されることが多いのです。もし突然変異が起こっているとすれば、遺伝子レベルのものでも(遺伝子突然変異)、染色体レベルのものでも(染色体突然変異)その変異は子孫に遺伝します。
その個体だけに見られる変異なら突然変異ではありません。調べている草花なにですか。品種ということですから、多分園芸品種の草花なのでしょう。種子は園芸店で買ったものでしょうか。だとすると、使った種子はすべて遺伝的に均一であるとは限りません。花の色の濃淡、草丈の長短、葉の形、大きさ、などなどには個体差があり得ますし、これらは、温度、日照、栄養、土壌の成分など、様々な環境要因でもかわり得ます。結果を突然変異の観点からまとめることはできないでしょう。実際にそうであったかどうか分かりませんが、言えそうなことは、「園芸店で買った○○○の種子を栽培したら、△△△色の花が咲くはずであったが、実際の花の色には△△△から×××へと変化があった。また、草丈も一様ではなかった。等々。栽培条件は全部同じにしてあるので、環境要因が影響しているのではないと思われる。使用した種子は遺伝的に均一ではなかったと推定される。」くらいではないでしょうか。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2008-08-11