一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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エンドウと蜜腺

質問者:   一般   ゆかママ
登録番号1731   登録日:2008-08-07
 中学の教科書の図では、エンドウは花に蜜腺をもたないようです。エンドウは虫媒花だと思うのですが、蜜が出ないのにどうやって虫をひきつけるのでしょう?
どうか教えて下さい。
ゆかママ様

“みんなのひろば”へのご質問ありがとうございます。エンドウの花が見られると良いのですが、少し遅いですね。アズキの花でも良いのですが、実物が見られたら見て下さい。エンドウなどのマメの仲間の花は5枚の花びらで出来ています。上にある一番大きい花びらを旗弁、その下に左右対象に付いているのが翼弁、下の2枚が竜骨弁です。エンドウではめしべもおしべも竜骨弁に包まれていますが、しっかりと包まれているので、虫はめしべやおしべのあるところに入り込めません。どうやってマメができるかと云うと、自分の花粉をめしべに付けて受粉し、マメを作るのです。エンドウでは花が咲く頃には受粉は終わっています。同じ植物の花粉で受粉する場合を自家受粉と云い、その中でも同じ花の中の花粉で受粉する場合を自花受粉と呼びます。
エンドウは自花受粉をするのです。つまり、エンドウは虫媒花ではないのです。エンドウで思い出すのは、メンデルの実験ではないでしょうか、メンデルはエンドウを用いてかけ合わせの実験を行い、遺伝の法則を見つけました。メンデルはたまたまエンドウを実験に用いたのではありません。実験を始める前に、どういう植物を材料にすべきか検討しました。幾つかの条件を満たすことが必要と考え、材料を選んだのですが、その一つの条件に、“他の植物の花粉の影響を受けないこと”をあげ、この条件を満たす材料として、虫がめしべやおしべに近付けないエンドウを選んだのです。メンデルの実験は、実験そのものも、きちんとした計画によってなされたものでしたが、実験にかかる前の準備も検討しつくされたものでした。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2008-08-11
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