一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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塩害

質問者:   中学生   わし
登録番号1736   登録日:2008-08-11
自由研究の参考にするため、質問させていただきます。
普通の種子植物が塩分を吸うと、どのように変化するのですか?
また、種類によって変化は違うのですか?
違うのなら、一番標準的な植物を教えてください。
お願いします。
わし さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご質問にある「塩分」は「食塩(塩化ナトリウム)」を指すものと思います。
植物にとって問題になるのはナトリウムイオンです。植物にとって、ナトリウムイオンはあった方がよいのですが、多量にあると毒性が現れます。毒性は濃度によってちがい、成長の抑制、葉の変色、ついには枯死として現れます。ほとんどの植物種でこの症状はほぼ同じですが、ナトリウムイオンに対する植物の耐性は種類、品種などでたいへん大きく違います。たとえば、キュウリ、エンドウなど多くの植物は1/12〜1/10に薄めた海水程度の食塩濃度で成長が抑制されますが、比較的強いトウモロコシ、シバ、カボチャなどは成長抑制を受けません。海浜植物と言われるオカヒジキ、ハマゴウ、ココヤシなどはもっと高い濃度の食塩水で生育しますし、ヒルギの仲間(マングローブと呼ばれている)、ホソバノハマアカザなどは海水の中で正常な生育します。また、同じオオムギでも品種によって強い品種、弱い品種があります。ですから、「一番標準的な植物」というものはありません。耐塩性のちがいには、ナトリウムイオンを吸収しないような仕組み、吸収したものを根で排出する仕組み、吸収したものを細胞内の液胞という袋に閉じこめる仕組み、吸収した塩を葉の表面にある特別な細胞内にいれて、その細胞を切り捨てる仕組みなど植物によって違った仕組みがあります。身近にある植物をいろいろな食塩濃度の中で育ててみて、どれが強いか、弱いかなどを観察することは面白い課題となるではないかと思います。なお、食塩の影響については今までに多くの質問があります。登録番号0891、登録番号1894,登録番号1964、登録番号1036、登録番号1048などを参考にしてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-08-25
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