質問者:
中学生
ナオ
登録番号1742
登録日:2008-08-17
雨が降った後の葉を見ると 濡れているものや乾いている物がありました。みんなのひろば
葉の表は毛が少なく裏には多いのはなぜですか
毛があるものははじいて濡れていません。植物の種類にも違いがあるのはどうしてですか。
又、毛の役割は表は裏とは違い乾燥を避けるため水分を保つ為ですか?
教えてください
ナオ さん
質問文を読ませていただいて、二つの植物の例が頭をよぎりました。一つは、先日大阪の植物園で見た“ビゼンナリヒラ”と呼ばれるササ(笹)のことで、他の一つは、“スイセンノウ(別名、ビロードソウまたはフランネルソウ)”のことです。“スイセンノウ”がどんな葉をしているかについてはご存知だと思います。“ビゼンナリヒラ”の大きな特徴は葉の裏に毛がたくさん生えていることです。以上の説明は少し脱線しておりますが、この問題を考える上でのご参考になればと思います。
ところで、葉に生えた毛と言っても、実はいろんな形のものがあって、そのはたらきもいろいろです。二、三のやや特別な例としては、特殊な化学物質を分泌するはたらきのある毛や、感覚器官としてはたらく毛があります(興味があったら調べてみて下さい)。
毛があって水をはじく例としてよく知られているものには、ハスやサトイモの葉があります。これらの場合、短い毛が葉の表に密集しており、水をはじいて寄せ付けません。裏はどうでしょうね。キュウリなど身近な植物について調べてみると、毛は葉の表と裏にありますが、その数(密度)は裏に多いものが目に付きます。多くの植物では、葉の表面がツルツルしており、裏面はザラザラしております。ザラザラに感ずるのは葉脈などが出っ張っているためであることも多いのですが、毛が多く生えていることによることもあります(上に述べたビゼンナリヒラの場合はこれに当たります)。ご質問のタイトルになっている“葉の表は毛が少なく裏には多い”が、どんな植物にも当てはまることかどうかは私には分かりません。
毛があることの利点としては、一般的には、次のようなことが考えられと思います。
(1)雨が降って葉が水浸しのような状態になっても、毛に邪魔されて水が接近できないため、気孔がふさがれにくい(このことには、葉の表裏での毛の分布の問題に関係してくるかも知れません)。
(2)水分の発散(そのことによっておこる乾燥)や気候の急変などに対して和らげの効果をもたらす。
(3)異物(動物・カビ・バクテリアなどをも含めて)が付着しにくくなったり、接触する葉と葉がくっ付きにくくなる。
(4)虫などに食べられにくくなる(毒液を分泌する場合をも含めて)。
しかし、葉の毛の形やはたらきは植物の種類によって大きく異なっていますので、先ずは、個々の場合についてよく考えてみてください。植物の地上部は、水浸しになることを嫌います。植物は、葉の表面を化学物質でコーティンすることをも含めて、いろんな手段でこの目的を達成しています。水をはじいて濡れにくい植物と比較的濡れや水すい植物がありますが、これは葉の形が植物によって異なっていることなどと同じように植物の個性の問題で、生育する環境への適応やその植物が進化の過程でたどってきた道筋を反映しているものと思われます。葉のことを考えるときの重要なキーワード「光合成」です。光合成のはたらきのことにも関連づけて、毛の問題を考えて見て下さい。
以上、少し難しい説明になり、また、貴方からのご質問には直接お答えできていませんが、これから調べて行く上でのご参考になればありがたいと思っております。また、この質問コーナーには葉の毛を扱ったものが他にもありますので、検索してみて、そちらの方もご参考にして下さい。
質問文を読ませていただいて、二つの植物の例が頭をよぎりました。一つは、先日大阪の植物園で見た“ビゼンナリヒラ”と呼ばれるササ(笹)のことで、他の一つは、“スイセンノウ(別名、ビロードソウまたはフランネルソウ)”のことです。“スイセンノウ”がどんな葉をしているかについてはご存知だと思います。“ビゼンナリヒラ”の大きな特徴は葉の裏に毛がたくさん生えていることです。以上の説明は少し脱線しておりますが、この問題を考える上でのご参考になればと思います。
ところで、葉に生えた毛と言っても、実はいろんな形のものがあって、そのはたらきもいろいろです。二、三のやや特別な例としては、特殊な化学物質を分泌するはたらきのある毛や、感覚器官としてはたらく毛があります(興味があったら調べてみて下さい)。
毛があって水をはじく例としてよく知られているものには、ハスやサトイモの葉があります。これらの場合、短い毛が葉の表に密集しており、水をはじいて寄せ付けません。裏はどうでしょうね。キュウリなど身近な植物について調べてみると、毛は葉の表と裏にありますが、その数(密度)は裏に多いものが目に付きます。多くの植物では、葉の表面がツルツルしており、裏面はザラザラしております。ザラザラに感ずるのは葉脈などが出っ張っているためであることも多いのですが、毛が多く生えていることによることもあります(上に述べたビゼンナリヒラの場合はこれに当たります)。ご質問のタイトルになっている“葉の表は毛が少なく裏には多い”が、どんな植物にも当てはまることかどうかは私には分かりません。
毛があることの利点としては、一般的には、次のようなことが考えられと思います。
(1)雨が降って葉が水浸しのような状態になっても、毛に邪魔されて水が接近できないため、気孔がふさがれにくい(このことには、葉の表裏での毛の分布の問題に関係してくるかも知れません)。
(2)水分の発散(そのことによっておこる乾燥)や気候の急変などに対して和らげの効果をもたらす。
(3)異物(動物・カビ・バクテリアなどをも含めて)が付着しにくくなったり、接触する葉と葉がくっ付きにくくなる。
(4)虫などに食べられにくくなる(毒液を分泌する場合をも含めて)。
しかし、葉の毛の形やはたらきは植物の種類によって大きく異なっていますので、先ずは、個々の場合についてよく考えてみてください。植物の地上部は、水浸しになることを嫌います。植物は、葉の表面を化学物質でコーティンすることをも含めて、いろんな手段でこの目的を達成しています。水をはじいて濡れにくい植物と比較的濡れや水すい植物がありますが、これは葉の形が植物によって異なっていることなどと同じように植物の個性の問題で、生育する環境への適応やその植物が進化の過程でたどってきた道筋を反映しているものと思われます。葉のことを考えるときの重要なキーワード「光合成」です。光合成のはたらきのことにも関連づけて、毛の問題を考えて見て下さい。
以上、少し難しい説明になり、また、貴方からのご質問には直接お答えできていませんが、これから調べて行く上でのご参考になればありがたいと思っております。また、この質問コーナーには葉の毛を扱ったものが他にもありますので、検索してみて、そちらの方もご参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2008-08-25
佐藤 公行
回答日:2008-08-25