一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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日光と野菜の色や栄養の関係は?

質問者:   小学生   さつき
登録番号1747   登録日:2008-08-20
夏休みの自由研究で野菜を育てました。日光と野菜の色や栄養について調べてみました。トマトは日光が当たらなくても赤くなりますが日に当たった方が少し甘く感じました。トウモロコシやシシトウ、スイカは日光を当てずに育てたら大きくならなかったのに、きゅうりとナスは、日光を当てなくても大きく育ちました。色は付きませんでした。味も少し違うように感じましたがなぜ大きくなるのかわかりません。味が変わったので、栄養分も変わったのかなあと思いますが、違いはあるのですか。図書館で調べてもわかりませんでした。
私の家には、パソコンがないので、担任の先生に頼んで質問コーナーに投稿しました。よろしくお願いします。
さつき さま

 ご質問に日光を当てずに野菜を育てた、とありますが、これが、植物全体を日光に当てなかったのか、また、どれだけの期間、日光を当てずに育てたのか、わかりません。植物の葉では光合成によって空気中の二酸化炭素を固定し、いろんな種類の光合成同化産物をつくるために、植物の生育に日光は絶対に必要です。黒い箱などで日光を完全にさえぎった中では光合成が進行できず、どんな植物も成長できません。ここで、“日光に当てない”とは、花の咲いた後の(果)実を黒い紙などで覆って、日光を(果)実だけに当てなかったとして考えてみます(実験方法は実験結果に大きく影響しますので、詳しく正確に書いて下さい)。

キュウリとナスの実は日光を当てなくとも育ち、トウモロコシ、シシトウ、スイカの(果)実は大きくならなかったのは、(果)実の成長(肥大)に、日光が直接、間接に関係しているためです。キュウリ、ナスの実が大きくなったのは、葉で光合成によってできた産物が充分に実へと送り込まれたため思われます。しかし、実には日光が当たらなかったため、合成に光が必要な色素(キュウリでは緑色の葉緑素、ナスでは紫色のアントシアニン)ができず、色がつかなかったのでしょう。トウモロコシ、シシトウ、スイカの(果)実が大きくならなかったのは、実が肥大するための植物ホルモン合成に光が必要なためと思われます。さらにこれらの(果)実の緑の組織で葉緑素が合成されず、光合成ができないため、(果)実の緑の組織での光合成によって実を大きくすることができなかったためと考えられます。

糖分、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど(果)実の栄養成分に、日光がどのように作用するかを調べるのは、これら成分を分析することが必要です。標準的な食品については“食品成分表”(東京書籍、2006)などが参考になるでしょう。味、栄養、“うまみ”などはこれら多くの成分の総合されたものですが、これは、さつきさん、一人だけの”感じ“だけでなく、少なくとも数人がテストして同じ結果にならなければ信頼できるデーターにはなりません。

植物の生育と光との関係については、本質問コ-ナーの質問登録番号1718への回答もご覧下さい。

JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2008-08-25
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