一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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セイロンベンケイソウの発芽について

質問者:   小学生   たける
登録番号1748   登録日:2008-08-20
小学5年生です。夏休みの自由研究で、セイロンベンケイソウの観察をしています。
去年の夏に芽が出た1枚の葉を土に埋めたものを育てていたら、何枚か茎の下の方の葉から芽が出てきていたのを見て、「なぜ下の方の葉ばかりから芽が出るのか」と不思議に思ったのがこの自由研究のきっかけです。
自由研究では、茎の下の方の葉と上の方の葉を切り取り、水につけて何日か様子を見ました。すると、下の方の葉の方が早く根が出てきて葉をつけました。
また、茎につけたままの状態でも発芽の様子を観察しましたが、2週間以上たっても変化がないので、茎から切り離したらすぐに根が出てきました。さらに、水につけないとどうなるのか知りたくて切り離した葉を、水につけずにそのまま置いておいたところ、根が出てきました。いろいろインターネットなどで検索して調べたのですが、まだわからないことがあります。

・なぜ茎の下の方と上の方で葉がつくのにちがいがあるのはなぜか?
・茎から離した方が葉がつくのが早いのはなぜか?
・茎から離せば水がなくても発芽するのか?
・インターネットで検索したらセイロンベンケイソウは花がつくみたいだけど、種はできるのか?

教えてください。おねがいします。
たける さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
セイロンベンケイの観察をしていて面白いことに気がつきましたね。セイロンベンケイのように葉にできる芽を不定芽といいます。芽というのは「葉がついた茎」の赤ちゃんのようなもので、葉(葉柄)が茎につく部分(節)にできるのがふつうのものです。葉の付け根には必ず芽ができていますが葉身のように、ふつうは芽ができないところにできるので不定芽といっています。しかし、不定芽ができるのは珍しいことではなく、園芸的にもたくさんの花木の葉に不定芽を作らせて増殖させる研究が行われています。これらの研究から分かってきたことは、植物ホルモンのバランスが重要だと言うことです。その立場で、ご質問にお答えします。

>・なぜ茎の下の方と上の方で葉がつくのにちがいがあるのはなぜか?
植物の葉は、茎の下についている方がより歳をとった葉で、上の方についている葉は若いものです。若い葉では植物ホルモンの合成も盛んですし、茎からの栄養供給も盛んです。より歳をとった葉では、植物ホルモンの合成が衰え、茎からの栄養供給も悪くなります。このような条件になると不定芽ができやすいので、上の葉と下の葉とでちがいがあるのです。

>・茎から離した方が葉がつくのが早いのはなぜか?
研究されている植物共通に見られる現象です。切り離した葉では母体からの栄養供給がなくなります。それが信号となって植物ホルモンの合成に変化が起きてバランスが不定芽形成に都合よくなるためと考えられます。

>・茎から離せば水がなくても発芽するのか?
セイロンベンケイソウは多肉植物と呼ばれるように、葉にたっぷりと水をためています。ですから、不定芽ができる程度の期間では特に外から水を供給しなくても発芽します。英語ではAir Plantと言い空気中にぶら下げておくだけで不定芽がでる植物とされています。

>・インターネットで検索したらセイロンベンケイソウは花がつくみたいだけど、種はできるのか?
できます。品種改良は種子がとれなければできません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-08-25
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