一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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動く植物について

質問者:   中学生   カメ
登録番号1749   登録日:2008-08-22
動く植物について調べているのですが、中でもオジギソウについて調べています。オジギソウは膨圧運動によって動く事は分かっているのですが、その膨圧運動がオジギソウに毎日あたえる水の種類(硬水や軟水、phの違いなど)によって変化するという事は考えられるでしょうか。
後、他にも植物の屈性についての調べているのですが、球根を植える際、芽の出る方を上にして植えるというのは全ての球根植物でやる事なのでしょうか。下に向けて植えるようなものはないのでしょうか。また下に向けた場合、全ての植物が上下を認識し、芽が上、根が下というふうに発芽するのでしょうか。
カメ さま

第一のご質問、オジギソウに与える水の種類によって膨圧運動が影響を受けるかどうかについてですが、とくに高いpH(8以上)、低いpH(6以下)の水でなければ、一般的に硬水でも軟水でも影響はありません。硬水は軟水に比べカルシウム、マグネシウム含量が高い水ですが、オジギソウの生育には両方の元素が必要です。しかし、土壌に植えたオジギソウがまともに大きく成長していれば、植物にとって土壌から吸収した両元素で充分なため、とくに硬水からカルシウム、マグネシウムを供給する必要はありません。硬水を与えたときの成長が(軟水を与えたときに比べ)良くなった場合、オジギソウを植えた土壌中に含まれている二つの元素またはどちらかの元素が少なくなっている可能性があります。高すぎるpHの水, 低すぎるpHの水は根の細胞に障害を与え、生育を阻害するため一般に好ましくありません。

第二のご質問、植物の成長にとって非常に重要な点についての質問です。球根に限らず、植物の芽生えを、上下さかさまに植えても必ず、根は下の方向(重力の方向)、芽は上の方向(重力と反対の方向)に伸びる性質をもっています。これを重力屈性(屈地性)とよんでいます。ヒトは内耳の三半規管にある耳石(平衡石、炭酸カルシウム)によって重力の方向を感知し、これによって(ふらふらしないで)真直ぐに立っていられます。植物では、根の先にある根冠細胞の中で、比重が細胞液より高いデンプン粒(アミロプラスト)が沈み、耳石のように、根冠細胞の底に接触し、これが信号となって、ホルモン合成を促進し根は重力の方向に伸びるようになっています。一方、茎の内皮細胞の底にもデンプン粒が沈んでいて、この接触刺戟によって、茎を上の方向に伸張させるホルモンが合成され、重力と反対の方向に伸びるようになっています。植物がもっているこの重力屈性によって、根は土の中で下の方向に伸び、水と無機養分を土から吸収しやすいようになっています。一方、地上部の茎、葉は重力と反対方向に伸び、光合成に都合のよい体制をもつことができるようになっています。少なくとも、全ての種子植物はこの正負の屈地性をもっています。

無重力状態になっている宇宙船の中で、宇宙飛行士は浮かんでいるように見えますが、もし、宇宙船の中で球根を植えれば、また植物の種をまけば、どちらの方向に根と芽を出すでしょうか?考えてみて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2008-08-26
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