質問者:
その他
井上
登録番号0176
登録日:2004-12-09
植物細胞内の有機酸含量で、多い順番を教えていただきたいです。みんなのひろば
細胞内の有機酸について
以前、根の滲出物についての質問がされていてその場合は有機酸、アミノ酸、植物ホルモン等の微量成分は、順位はつけられないとの回答が出されていましたが、細胞内での量も多い順番ははっきりしていないのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
井上さま
ご質問の意味が「一般的な植物細胞内の有機酸含量で多い順番」ということですと、たとえばCAM植物ではリンゴ酸とかクエン酸が多いとか、ほうれん草の葉の細胞にはシュウ酸が多いとかいうことになり、一概には云えません。しかも、その含量は植物によって、そのage、組織(に関連する機能)、置かれている環境条件によっても変動するでしょう。多い少ないはそれぞれの植物の置かれた環境との関連でその代謝、調節機構が働く結果です。たとえば根の場合、イオン吸収との関わりからリンゴ酸含量の変動が理解できますし、根が冠水して呼吸できなくなるとリンゴ酸が分解して乳酸が蓄積するのは、エネルギー代謝が無酸素型に切り替わり、これに細胞質のpH 調節が関わっていることで理解されます。
細胞の中のアミノ酸のについても同様ですが、一般的にはTCAサイクルや解糖系の中間体に一段階のアミノ基転移反応でできるアミノ酸(たとえばグルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン)がメジャーな成分であるのに対して、これらから何段階もの反応を経てできるもの(たとえばリジン、メチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、トリプトファン、など)はマイナーな成分といえるでしょう。
しかし、有機酸の場合と同様、環境条件や植物のageや部位により量は大きく変動します。たとえば窒素肥料を与えれば根組織のグルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン等は大幅に増加します。無酸素状態にすればグルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸は減少してGABA (gamma-aminobutyric acid)やアラニンが増えます。植物細胞がリン酸欠乏になると細胞の分裂・増殖は阻害され、タンパク合成(アミノ酸利用反応)も遅くなります。しかしアミノ酸合成は窒素源や炭素源が充分にありさえすれば進行しますから、細胞のアミノ酸含量はマイナーな成分を含めて増加します。
このように、有機酸やアミノ酸は代謝中間体として合成され利用されるので一般的な「細胞内での量の多い順番」をいうのは困難です。量を問題にするならば、むしろこれらの中間体がどのような条件の下で、どのようなメカニズムで増減し、その生理的な目的が何であるのか、という視点が大切だと思います。
ご質問の意味が「一般的な植物細胞内の有機酸含量で多い順番」ということですと、たとえばCAM植物ではリンゴ酸とかクエン酸が多いとか、ほうれん草の葉の細胞にはシュウ酸が多いとかいうことになり、一概には云えません。しかも、その含量は植物によって、そのage、組織(に関連する機能)、置かれている環境条件によっても変動するでしょう。多い少ないはそれぞれの植物の置かれた環境との関連でその代謝、調節機構が働く結果です。たとえば根の場合、イオン吸収との関わりからリンゴ酸含量の変動が理解できますし、根が冠水して呼吸できなくなるとリンゴ酸が分解して乳酸が蓄積するのは、エネルギー代謝が無酸素型に切り替わり、これに細胞質のpH 調節が関わっていることで理解されます。
細胞の中のアミノ酸のについても同様ですが、一般的にはTCAサイクルや解糖系の中間体に一段階のアミノ基転移反応でできるアミノ酸(たとえばグルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン)がメジャーな成分であるのに対して、これらから何段階もの反応を経てできるもの(たとえばリジン、メチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、トリプトファン、など)はマイナーな成分といえるでしょう。
しかし、有機酸の場合と同様、環境条件や植物のageや部位により量は大きく変動します。たとえば窒素肥料を与えれば根組織のグルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン等は大幅に増加します。無酸素状態にすればグルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸は減少してGABA (gamma-aminobutyric acid)やアラニンが増えます。植物細胞がリン酸欠乏になると細胞の分裂・増殖は阻害され、タンパク合成(アミノ酸利用反応)も遅くなります。しかしアミノ酸合成は窒素源や炭素源が充分にありさえすれば進行しますから、細胞のアミノ酸含量はマイナーな成分を含めて増加します。
このように、有機酸やアミノ酸は代謝中間体として合成され利用されるので一般的な「細胞内での量の多い順番」をいうのは困難です。量を問題にするならば、むしろこれらの中間体がどのような条件の下で、どのようなメカニズムで増減し、その生理的な目的が何であるのか、という視点が大切だと思います。
独立行政法人 農業生物資源研究所
坂野勝啓
回答日:2009-07-03
坂野勝啓
回答日:2009-07-03