一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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カキの種子成分について

質問者:   小学生   DIVE_TWO
登録番号1774   登録日:2008-09-04
トウモロコシ、イネの胚乳やインゲンマメの子葉はヨウ素液で青紫色になる。しかしカキの胚乳は青紫色にならないと聞きました。なぜでしょうか?
DIVE_TWO くん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
もう少し経つとカキの実がマーケットにでることでしょう。ぜひ種子を縦に割ってよく観察してください。トウモロコシやイネ、インゲン豆の切り口と色や感じを比べてみてください。そして、できたら自分でヨウ素反応を試してみてください。ヨウ素反応液はむずかしく考えないで、薬屋さんで入手できるヨウ素系「うがい薬」を使えます。種子の切り口に少したらして色の付き具合を比較してください。さて、カキの胚乳がヨウ素液に反応しないのは本当です。胚乳は半透明で、他のヨウ素反応する胚乳とは見た目が違います。多くの種子の胚乳や子葉の栄養分は、胚乳細胞や子葉細胞の中に、デンプン粒、タンパク質顆粒あるいは油脂粒の形で蓄えられています。しかし、カキの胚乳では細胞の中ではなく細胞壁にヘミセルロースという形で栄養分を蓄えています。ヘミセルロースというのはセルロース以外の細胞壁成分で、水に溶けにくく、グルコース、ガラクトース、キシロース、ラムノースなどいろいろな糖類が複雑につながったものです。ヘミセルロースはデンプンと違いヨウ素液に染まりませんので、カキの種子の胚乳も染まらないのです。ふつうの植物の組織を顕微鏡で見ると細胞という袋がたくさん集まったように見えます。細胞は細胞壁という壁で囲まれていますが、細胞壁はセルロースとヘミセルロースそれにペクチンなどが加わったものです。カキの胚乳細胞の細胞壁には次世代の栄養分としてヘミセルロースがたくさん蓄えられてものすごく厚くなっています。細胞壁が厚いので、細胞と細胞とをつなぐ「原形質連絡」という構造を観察するのに適した材料として使われるほどです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-09-08
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