一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ブナ林と標高、緯度について

質問者:   自営業   モンゴリナラ
登録番号1779   登録日:2008-09-10
この前滋賀県北部のマキノ町にブナ林を観察に行きました。その場所は湖畔のほぼ標高0メートルの場所はクヌギやコナラの雑木林にちらほら常緑樹が混じるような森林でした。
でも標高300メートルほどにある在原という集落の神社の鎮守の森は、ブナの大木にカシやツバキが混じる照葉樹林とブナ林の中間地点の珍しい森でした。滋賀の里山程度の標高の場所にブナ林が結構見られたのですが、気温的に年間平均13℃前後だと思われる標高3、400メートルの場所にブナの純林は生育可能なのでしょうか?
日本海に近いという比較的ブナ林が成立しやすい地理的条件が関わってるのでしょうが、ブナがもともと照葉樹林が成立する気候の場所ではどのくらいの標高で、平地では東北、もしくは北陸のどのあたりで成立出来てたのか詳しく知りたいです。
モンゴリナラ さん

回答を差しあげるのが遅くなってすみません。専門性が高いご質問ですので、ブナ林についてお詳しい森林総合研究所の正木 隆博士に回答を願いました。ご参考にして下さい。


(正木博士の回答)
平均気温が13度付近の場所にブナが生育していることは確かに珍しい現象ですが、他にもいくつか例はあります。私の知る限り、茨城県の標高200メートルに満たない山にブナが生えている例がありますし、新潟市からさほど遠くない海岸沿いに純林状のブナ林が成立している例もあります。樹木の分布には確かに最適な温度域が影響を及ぼしますが、その温度域から離れた場所がすなわちブナの生育が「不可能」な場所ということではありません。また、最終氷期以前にブナの生育適地だった場所が、その後の温暖化で現在は生育不適地になっているとしても、ブナが辛うじて生き残っている可能性も考えられます。

正木 隆(森林総合研究所・森林植生領域・群落動態研究室)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2008-09-24
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