一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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果実まで水を運ぶしくみ

質問者:   小学生   ちいた
登録番号1782   登録日:2008-09-15
自由研究で「すいかが水をすうしくみ」をやりました。
はっぱからの蒸散と浸透圧について実験をしてまとめましたが、
けっきょくスイカの実に水が運ばれるしくみがわかりませんでした。
成分がこい方へ水が引っ張られるのはわかりましたので、
スイカの実の成分が濃いから水を引っ張っているのでしょうか?
だんだん大きくなる時に、大きくなる力で水を引っ張っているのでしょうか?
すいかだけではなく、果実にはどうやって水が運ばれていくのか教えてください。
ちいた様

“みんなのひろば”へのご質問ありがとうございました。蒸散とか浸透圧とか、水が成分のこい方に運ばれこととか沢山勉強したんですね。その他に光合成とか、細胞のこととかも勉強されていると、質問にお答えするのが少し楽なのですが、そんなことも含めてお答えしましょう。まず、細胞です。植物の体は、茎も根も葉も実も全部細胞という小さな部屋のようなものが集まってできています。茎も根も葉も実も、その中の細胞の数が多くなるのと、細胞が大きくなることで大きくなります。今回は実のことなので、実のことだけ、それもスイカの実のことだけについて書きましょう。スイカの実の細胞の数は花が咲く頃まで増え続けますが、花が咲いたあとは増えなくて、実は細胞が大きくなることによって大きくなります。風船を膨らませるのには風船に空気を吹き込まなければなりませんが、細胞を大きくするためには、細胞の中に水を入れなければなりません。水がどうして細胞の中に入って行くのかは、ちいたさんが勉強した「水が成分のこい方に運ばれる」ことが関係しています。スイカの実の細胞の中の成分は、とても濃いのです。次に光合成のことについてです。植物の葉は根から吸い上げた水と空気中から取り入れた二酸化炭素(炭酸ガスともいいます)を材料にしてデンプンを作ります。このデンプンはショ糖(お砂糖のことです)に変わり、葉からスイカの実へと運ばれます。スイカの実の細胞は運ばれてきたショ糖を一生懸命細胞の中に取り込みます。すこし難しい言葉を使えば、エネルギーを使って取り込みます。これによってスイカの果実の細胞の中の成分が濃くなるのです(お砂糖を取り込んだので、甘くなります)。さあ、これからはちいたさんの勉強したことです。成分の濃くなった細胞の中に水が運びこまれ、細胞が大きくなり、スイカも大きくなるのです。質問の答ですが、「スイカの実の成分が濃いから水を引っ張っているので、大きくなる力で引っ張っているのではありません。」。おまけですが、花が咲いた頃から細胞の数は変わらずに、実が大きくなるので、細胞一個一個はとても大きくなっています。普通、細胞は顕微鏡でないと見えませんが、スイカの実の細胞は肉眼でも見えます。見てご覧なさい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2008-09-18
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