質問者:
公務員
ハナムグリ
登録番号1784
登録日:2008-09-17
家庭菜園でレタスを栽培したことがあります。レタスの根の伸び方
そのとき生育に差ができ抜いてみると苗によって根の伸びが違うように感じました。
肥料、水やりは同じようにしたつもりですが、レタスの根やその他植物は、何を求めて?どんな場合?によく成長するのでしょうか?重力なども関係しているのでしょうか?
また、自分で土壌中の最適な環境を求めて伸びることなどで、悪条件を克服してまともに成長できる力をもっているのでしょうか?
ハナムグリ さん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
本職の農業でも家庭菜園でも作物を望むように育てることはとても難しいことです。それは作物も生物であるからだと私は思っています。目に見えた動きはありませんが、植物も自然環境の中で必死に生きているのです。さて、最後の方のご質問からお答えしましょう。レタスに限らず植物の根は、重力に感じて重力の方向に向かって成長する性質と水分の多い方へ向かって成長する性質を持っています。また、栄養供給がよければより早く成長します。植物は動物と違って動けないので、その場でよりよい環境へと成長の方向を向けていますし、一時的に環境条件が悪くなっても逃げることができませんので、その悪条件に耐える仕組みをもってたくましく成長しています。もちろん、植物の種類によって悪条件に対する耐性の程度や仕組みは違っています。そこで前半のレタスに関するご質問ですが、ハナムグリさん、ご自分の周囲の動物、植物をよくご覧になってください。たとえばヒトという生物は種が同じですが、一人一人区別できるほど違っていませんか。同じ遺伝子組成をもち、ほぼ同じ食住環境にある兄弟姉妹といえども身長も体重も顔かたちも少しずつ違っていますね。それにはいろいろな原因がありますが、大きな原因の1つは、受精後の発達過程で環境から受ける刺激の種類、程度、時期などが同一ではないことです。個人個人が環境から受ける刺激の種類、量や時期が異なり、それに対応する反応も違って成長という大きな仕事の全体像に影響を与えるからです。レタスもまったく同じです。栽培用のレタスはヒトよりも遺伝子的にはもっと均一性が高いはずですが、花の栄養状態、種子形成時の栄養状態や環境条件などが種子によって同じではないので個々の種子に元気のいいもの、悪いものといったちがいができます。また、種子が土壌にまかれたときも個々の種子周辺の土壌温度、気温、水の分布などは微細なレベルで異なり、発芽生育に影響を与えます。その上、ある程度成長してくると、お互いに陰をつくったり、水、栄養を奪いあったりして、自然と成長のよいもの、悪いものが出てくるのが普通の姿です。生育初期では根の成長にこのようなちがいが目立つのは、根の成長が地上部の成長よりも早いためと考えられます。根の成長のちがいはまもなく地上部の成長のちがいとなって現れます。農作業の1つに「間引き」という作業がありますが、そのとき「元気のよい苗を残して」とか「茎の太い苗を残して」などと表現されるように、自然の中に「対等平等」といえるものは少ないのです。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
本職の農業でも家庭菜園でも作物を望むように育てることはとても難しいことです。それは作物も生物であるからだと私は思っています。目に見えた動きはありませんが、植物も自然環境の中で必死に生きているのです。さて、最後の方のご質問からお答えしましょう。レタスに限らず植物の根は、重力に感じて重力の方向に向かって成長する性質と水分の多い方へ向かって成長する性質を持っています。また、栄養供給がよければより早く成長します。植物は動物と違って動けないので、その場でよりよい環境へと成長の方向を向けていますし、一時的に環境条件が悪くなっても逃げることができませんので、その悪条件に耐える仕組みをもってたくましく成長しています。もちろん、植物の種類によって悪条件に対する耐性の程度や仕組みは違っています。そこで前半のレタスに関するご質問ですが、ハナムグリさん、ご自分の周囲の動物、植物をよくご覧になってください。たとえばヒトという生物は種が同じですが、一人一人区別できるほど違っていませんか。同じ遺伝子組成をもち、ほぼ同じ食住環境にある兄弟姉妹といえども身長も体重も顔かたちも少しずつ違っていますね。それにはいろいろな原因がありますが、大きな原因の1つは、受精後の発達過程で環境から受ける刺激の種類、程度、時期などが同一ではないことです。個人個人が環境から受ける刺激の種類、量や時期が異なり、それに対応する反応も違って成長という大きな仕事の全体像に影響を与えるからです。レタスもまったく同じです。栽培用のレタスはヒトよりも遺伝子的にはもっと均一性が高いはずですが、花の栄養状態、種子形成時の栄養状態や環境条件などが種子によって同じではないので個々の種子に元気のいいもの、悪いものといったちがいができます。また、種子が土壌にまかれたときも個々の種子周辺の土壌温度、気温、水の分布などは微細なレベルで異なり、発芽生育に影響を与えます。その上、ある程度成長してくると、お互いに陰をつくったり、水、栄養を奪いあったりして、自然と成長のよいもの、悪いものが出てくるのが普通の姿です。生育初期では根の成長にこのようなちがいが目立つのは、根の成長が地上部の成長よりも早いためと考えられます。根の成長のちがいはまもなく地上部の成長のちがいとなって現れます。農作業の1つに「間引き」という作業がありますが、そのとき「元気のよい苗を残して」とか「茎の太い苗を残して」などと表現されるように、自然の中に「対等平等」といえるものは少ないのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-09-22
今関 英雅
回答日:2008-09-22