一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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塩性植物

質問者:   小学生   アリエル
登録番号1787   登録日:2008-09-20
わたしは、小学校2年生です。
夏休みから、学校のちかくの、ひがたのかんさつをしています。
ここには、たくさんの水鳥がいます。
いろいろとしらべてみたら、この水鳥は、えんせいしょくぶつを、
エサやすみかにいているから、たくさんあつまってくるそうです。
でも、ひがたには、しょくぶつらしきものが生えていません。
どんなものが、えんせいしょくぶつなのか、おしえてください。
アリエル さま

塩生植物(えんせいしょくぶつ)はひがた(干潟)、かいがんのように海の水が入るところでも、大きくなれる植物です。普通の植物は(たいふうのときなどに見られるように)海の水がすこしでもかかると枯れてしまうことが多いのですが、塩生植物は海の水のなかでも成長できます。普通の植物は海水に含まれている(食卓の塩と同じ)塩の作用によって枯れるのですが、塩生植物は、海水を吸収しても、海水が葉にかかっても、さいぼうの中にある液胞(えきほう)にためこんだり、葉から逃がしたりして、塩の害をうけないようにすることができます。塩生植物の中には、普通の植物とは逆に、海の水がないと大きくなれない植物もあります。

ねったい地方のかいがんにはえているマングローブの木も塩生植物ですが、マングローブが生えることによって、島の周りに魚が住みつくことができるなど、大きな役割をもっています。日本ではマングローブ(ヒルギ科)が生えているのは沖縄と、鹿児島の南に限られています。鹿児島より北のひがた、かいがんにはえている塩性植物は、マングローブのように大きな樹木になるものはなく、アカザ科をはじめ多くの種があります。アカザ科のシチメンソウは有明海に(この質問コーナーの質問1624への回答をみてください)、アツケシソウは北海道でといったように、場所によってそれぞれべつの種類の塩生植物が生えています。日本に生えている塩生植物は、主なものだけでも20種以上あります。

学校の近くでかんさつをつづけているひがたに、水鳥がたくさん集まるようですが、ここには植物が生えていないのでしょうか?沖縄、鹿児島でなければ、マングローブのような大きい樹木は生えないでしょうが、小さな植物もありませんか?潮の引いた干潮のときにもよく調べてください。ともかく海の水が入るところで生えている植物はすべて塩生植物です。古川昭雄先生は日本のアカザ科の塩生植物には、イソホウキギ、アッケシソウ、ハマアカザ、ホソバノハマアカザ、シチメンソウ、マツナ、ハママツナ、オカヒジキをあげておられます。これ以外にも塩生植物はありますが、ひがたで見つけた植物があれば、植物ずかんで調べてください。

塩生植物の生えているひがたに、シベリヤなどから渡り鳥が来ることが多く、渡り鳥を守るためにいくつかのひがたの植物が保護されています。渡り鳥に大切な塩生植物が、埋め立てや下水などによって失われることが多いためです。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2008-09-24
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