一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花粉と精子の違い

質問者:   一般   hiroyuki
登録番号1810   登録日:2008-10-13
今まで動物の精子に対し、植物は花粉があるものと思っていました。
しかし、植物の世界にも精子がある事をしりました。

 植物の精子を花粉と言ってはいけないのは何故でしょうか?
その違いを教えて頂ければ思います。 よろしくお願いいたします。
hiroyuki 様

質問コーナーへの度々のご来場ありがとうございます。ご質問に対していろいろな答え方がありますが、今回は簡単にお答えします。
[回答]
世界で最初に植物の精子を発見したのは平瀬作五郎(1896年)でイチョウでみつけました。また、同年池野成一郎はソテツで精子を発見しました。これらの植物は裸子植物で精子には鞭毛があります。被子植物では精子には鞭毛がありません。そのため、精核、精細胞等ともよばれます。
精子や卵子(ランシ)を生じる構造体は配偶体といいます。雄の配偶子(精子)を作る構造体を雄性配偶体、雌の配偶子(卵子)を作る構造体を雌性配偶体とよびます。花粉は雄性配偶体と同じです。そして、胚のうが雌性配偶体になります。花粉はめしべの先端(柱頭)に付着すると発芽して、花粉管がめしべの花柱に中を伸びて胚のうに達します。花粉管のなかには精子(精細胞)ができて、これが胚のうの中の卵子と受精するのです。だから精子を花粉というのは作品を作者というようなものです。
なお、植物の受精に関連した過去の質問への回答も参考にして下さい(登録番号0496, 登録番号0872, 登録番号1679, 登録番号1791)。植物の配偶子形成と生殖については高校の生物学教科書には必ず載っていますから、どこかで御覧になって下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2012-08-25
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