一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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枝豆と大豆に含まれるビタミンCについて

質問者:   一般   身土不二
登録番号1813   登録日:2008-10-16
 大豆の未熟時に収穫したものが枝豆ですが、この枝豆には豊富なビタミンCが含まれています。ところが、大豆にはビタミンCは全く含まれていません。これは何故なのでしょうか。
身土 不二 さま

植物で光合成をする細胞内の小器官である葉緑体は、大部分が葉にありますが、葉以外の茎、葉柄、そして、ダイズのように種子が成熟する迄の、緑色をしている“枝豆”にも葉緑体があります。葉以外の組織に見られる葉緑体による光合成量は、葉でのそれに比べれば多くありませんが、ダイズの成長に寄与しています。ダイズの花が咲き、受精して種子が大きくなる段階では、種子の葉緑体による光合成が進行し、同時に葉から送られてくる光合成産物からダイズの種子の子葉に(発芽のときに必要な栄養分となる)蛋白質、脂質、デンプンを合成しています。光合成過程でも子葉成分の生合成の過程でも活性酸素が生成しますが、活性酸素はこれらの過程を阻害するため、種子が成熟するためには速やかに活性酸素を消去する必要があります。

植物でアスコルビン酸は活性酸素の一つである過酸化水素(H2O2)をアスコルビン酸ペルオキシダーゼによって速やかにH2Oに消去するために必要です。“枝豆”の段階では、まだ、光合成、子葉成分の合成が進行中のため、アスコルビン酸が含まれていますが、やがて、ダイズの種子が完熟し、葉緑体による光合成、子葉成分の合成が終了すると、活性酸素も発生しなくなるのでアスコルビン酸も必要がなくなり、(食品成分表によれば)“枝豆”では27 mg/100 g程度含まれていたアスコルビン酸は完熟大豆ではゼロになります。しかし、ダイズ種子を暗いところで発芽させた“もやし”は5 mg/100gのアスコルビン酸を含んでいます。種子の子葉に貯えられた蛋白質、脂質、デンプンなどから“芽ばえ”を作り上げる代謝過程で再び活性酸素が生ずるため、それを消去するためアスコルビン酸が必要になると考えられます。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2008-10-28
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