植物Q&A

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開花と樹勢の関係

質問者:   大学生   リー
登録番号1819   登録日:2008-10-22
はじめまして。
某大学の卒業研究で,ある地域の桜の開花と気象との関係を調べています。
卒業研究ということで,もう開花の調査はとっくに終わったのですが,学科で卒業研究の中間発表が行われた際に,「樹勢で開花が早いとか,遅いとかはないのか?」と質問されました。この質問に対して私は,おそらく違うと答えたのですが,樹勢については調べていなかったので,実際のところはわからないままです。樹勢で開花の早さは変わってくるのでしょうか。
気象学を専攻しており,生物屋さんでもないので,植物については何もわかりません。ウェブサイトで検索したり,樹木医に相談等したのですが,はっきりしたことはわかりません。老木でも最後に花を多く咲かせたりするものがあったりするみたいな話を聞いて,ますますわからなくなってしまいました。
リー様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。質問にお答えします。
[回答]
既に基礎的なことはご存じかと思いますが、一応解説しておきます。開花に限らず、発芽、芽吹き、紅葉や落葉など植物が示す季節的変化とこれらの現象と気象/気候との関係を扱う研究をフェノロジー「phenology, 生物季節(学)」といい、動物の場合にもあります。植物では季節的変化は日照などもありますが、温度(気温)が一番関係があります。フェノロジーでは温度は一般に平均温度ではなくて積算温度が使われます。レオミュールの法則(積算温度の法則)に従えば、ある植物についてのフェノロジーの有効積算温度を調べておけば、毎年の予想もできるのです。しかし、中にはこの法則に従わない異常(?)な例外もあります。芽吹きや開花が遅くなったり、落葉が早まったりする個体があります。このような例外的な樹木は、大体外見上何らかの衰えが見られるのが普通ですが、健全なように見えてもこのような以上なフェノロジーが見られることもあります。そのような場合は、おそらくその樹木の内的生理機能、例えば水分生理などが正常に機能していないと推定されます。回答の結論としては「樹勢によって開花が早まることは考えられないが、遅れることはありうる」ということになるでしょう。開花と樹勢の関連を調べた研究があるかどうかは残念ながら分かりません。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2008-10-28