一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

細菌類の窒素固定について

質問者:   高校生   こっこ
登録番号1829   登録日:2008-10-31
高校3年です。今日授業で窒素固定を習いました。窒素固定をするのは細菌類とラン藻類で、光合成細菌とラン藻類は窒素同化を行えるので窒素固定で手に入れた窒素化合物を自分の栄養にしていると聞きました。光合成細菌以外の細菌の中の、根粒菌は窒素同化ができないけど窒素固定でつくったNH4+を使って植物と相利共生していることも聞きました。その他のアゾトバクターやクロストリジウムなどの、窒素同化を行わず共生しない細菌は、作った窒素化合物を何に使っているのですか?
窒素同化をして自分の栄養にしないのなら、なんのために窒素固定を行っているのですか?
先生に聞いてもネットで探しても分かりませんでした。よろしくお願いします。
(↑の文章、いろいろ間違っていたらすみません)
こっこ さん

今日習ったことについての質問ですね。
生物の生育には窒素が必須ですね。窒素が生体内で蛋白質や核酸などの重要な有機窒素化合物の構成元素であることは良く知っていますね。ところで、一般的には、植物などの“独立栄養生物”は硝酸イオンやアンモニウムイオンなどの無機窒素化合物を窒素源として利用しますが、動物などの“従属栄養生物”はアミノ酸などの有機窒素化合物を窒素源とします。
アゾトバクターやクロストリジウムなどの細菌の場合にも当然窒素が必要ですので、折角固定した窒素が利用できず、アミノ酸などの有機窒素化合物を別に摂取するとしたら不合理ですね。そんなことはない筈です。これらの細菌が、炭素に関しては“従属栄養(有機化合物依存)生物”であるが、窒素に関しては“独立栄養(無機化合物依存)生物”であると考えることは出来ないでしょうか。今少し、アゾトバクターやクロストリジウムの生活について調べて見て下さい。窒素固定の反応についても。それでも疑問が解けないようでしたら、また質問して下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2008-11-05