一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

古代米は近傍のイネと交雑しますか

質問者:   一般   ノンクラ
登録番号1832   登録日:2008-11-05
「イネは自家受粉なので、古代米と白米は交雑しない」との意見に対し、
イネの品種改良では雄花を取り除いて人工授粉しており、自分の雄花がない場合は他家受粉可能のようです。

又、ある農家では食味と茎の強さを得る家伝の方法として、3種の種籾を7:2:1に混合して苗を作っていました(当然流通には載せません)が、交雑はしないようです。

自家/他家受粉性や自家/他家不和合性の禁止の強さはどの程度でしょうか? 
(近傍で栽培しても、こうすれば絶対安心というレベル)
ノンクラ さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

イネはふつう自家受粉をしますが他家受粉もしますので、交雑による育種が可能です。しかし、自然受粉によって交雑がおこるのは、両品種の開花時期が一致しなければなりません。飯米にしても古代米にしてもイネの品種は多く、開花時期の早い品種(極早生、早生品種)から遅い品種(晩生品種)までいろいろあります。現在、古代米といわれている多くは晩生種ですが早生もあり、早生の古代米と晩生の飯米を近接して栽培すれば両者の交雑はおこり得ます。イネの開花時間は短いので対象としているイネ品種間で自然交雑がおこるかどうかは、両者の開花時期が一致するかどうかで決まります。何種類かの種籾を混ぜて栽培してもそれらの開花時期がずれていれば交雑しませんし、開花時期が一致していれば交雑はおこります。

自然交雑が可能な距離をお尋ねですが、いろいろな結果があります。ハイブリッド米を作成するときには花粉親と受粉親との距離が問題になります。花粉親と受粉親とをなるべく近接させた方が受粉効率は高くなりますが、収穫の効率から受粉親をある程度まとめる必要があります。たとえば、花粉親を4条、受粉親を6〜8条程度にまとめ交互に移植してハイブリッド米の種籾をとっているようです。
「近傍で栽培しても、こうすれば絶対安心というレベル」とのご質問には、イネ花粉についてきちんとした試験がありませんのでお答えすることが出来ません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-11-11