一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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スギナの不思議の件

質問者:   一般   身土不二
登録番号1838   登録日:2008-11-06
 雑草は土壌の指標植物とも言われています。実際、スギナは酸性土壌によく生えるようです。しかし、このスギナの地上部にはアルカリ性ミネラルであるカルシウム、マグネシウムが豊富に含まれています。土壌が酸性であることは、土壌のカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ性ミネラルの不足を意味していると思いますが、何故、酸瀬土壌で育つスギナの地上部にカルシウム、マグネシウムが豊富なのでしょうか?
 私は貴重なカルシウム、マグネシウム供給源として、このスギナを小麦にまぶしてたべています。
身土不二 さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
スギナに関するご質問は栄養吸収を専門としておられる岡山大学の馬建鋒先生に伺いました。

植物のイオン吸収はエネルギーを使って積極的に行っていますので、きわめて濃度の低い栄養イオンでも体内にたくさん貯め込むことが出来ます。どんな元素をたくさん貯め込むかは植物の種類によって異なります。カルシウム、マグネシウムはスギナが好きな栄養イオンなのでしょう。


スギナは酸性土壌に強いといわれていますが、これは恐らくスギナが酸性土壌中のアルミニウムイオンを無毒化する機構を持っているからです。その結果、根の生育はアルミニウムイオンによる障害を受けず、土壌から生育に必要なカルシウムやマグネシウムなどの必須養分を吸収できます。酸性土壌には確かに溶脱によりカルシウムやマグネシウムの濃度が少ないが、全くないわけではないので、スギナの根はおそらく土壌中の少ないカルシウムやマグネシウムを強く吸収する能力を持っていると思われます。

馬 建鋒(岡山大学資源生物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-11-11
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