一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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根の重力屈性に関与する植物ホルモン

質問者:   教員   Toy
登録番号1843   登録日:2008-11-12
 先日授業の下調べをしていて、「重力屈性における根の成長抑制にはアブシシン酸が関与している云々」という記述にぶつかりました。根の重力屈性はオーキシンの濃度と感受性の違いで説明できるように思っておりましたが、最近の研究ではどのような見解が支配的なのでしょうか?
また、アブシシン酸説の場合、そのアブシシン酸はどこで合成・分泌されるのでしょうか?
 不勉強でお恥ずかしいのですが、ご教示戴ければ幸いです。
Toy様

質問コーナーへようこそ。ご来場を歓迎します。ご質問に対する回答は下記の通りです。

[回答]
確かにそのような記述がある参考書もあるようですが、一昔前のことだと思って下さい。重量屈性のメカニズムは隅から隅まで明らかにされたわけではありませんが、ABA (アブシシン酸)あるいは類似の阻害物質が直接関わっているとは考えられていません。ABA はストレスで誘導されますし、エチレンも同様です。他にジャスモン酸もあります。根のおかれた状態でこれらのホルモンが間接的にオーキシンの偏差分布に影響を及ぼすことがないとはいいきれません。しかし、専門的な研究者の間の情報ならいざしらず、高校や大学の教科書で登場するようなことではないと思います。ABA の関与のことは無視されてよいでしょう。重力屈性のメカニズムの理解は質問コーナーの登録番号1234,登録番号1514,登録番号1539 の回答を読んで下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2008-11-17
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