一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トマト植物体の成分・効用について

質問者:   一般   古田
登録番号1849   登録日:2008-11-19
 トマトの植物体は,なぜ食しないのか,また,果実と植物体での違いは何なのか疑問があります。そこで,質問です。
トマトの可食部であるトマト果実の成分,効用等については,多くの情報がありますが,トマトの植物体についての成分,効用等についてはどのようなものがあるのでしょうか?
また,可食すると問題があるのでしょうか?
既に質問事項で掲載されている「トマチン(登録番号0803)」は毒性があり,植物体にはその含量が多いようですが,加熱等すれば,毒性が消えるようなものなのでしょうか?
古田 様

ご質問にあるように本質問コーナーの質問登録番号0803の回答に、トマトの(青い)未熟果実には毒性のあるトマチンが含まれていること、完熟したトマト果実では無視できるぐらいに低くなること、また、トマトの葉、茎にはトマチンが未熟果実の2倍程度、1 kg あたり1 g近く含まれていることが示されています。トマトの葉に含まれているトマチンはこれによって葉を食べる昆虫を寄せつけないようにしている役割をもっていると思われますが、トマチンの毒性はヒトで半致死量が1.6 gと推定されていますので、1 kgの葉でもヒトにとっては相当に危険なレベルのトマチンを含んでいることになります。

トマチンはやや複雑な構造をもっているアルカロイド配糖体ですが、単純に加熱するだけで分解することはできません。従って、トマトの葉、茎を食糧にするためには、少なくともトマチンを分解して無毒化する料理法が開発されない限り、安全な食材にするのは困難と思われます。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2008-11-26
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