一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物体の中で酸素をどのようにして全ての細胞へ運ぶか

質問者:   一般   kaito
登録番号1853   登録日:2008-11-24
テレビを見ていて思ったのですが、茎や根のように海綿状組織のない器官では気孔から取り入れた酸素はどこを通って植物体全ての細胞に運ばれるのでしょうか?
外側に面していない内側の細胞(たとえば太い木の真ん中あたりとか)も呼吸をしていると思うので、そのような細胞はどのようにして酸素を得ているのでしょうか?
あまり専門知識がないので、できるだけ簡単に教えてくださるとうれしいです。よろしくお願いいたします。
Kaito さん

質問をお寄せ下さりありがとうございました。

例えばヒトの場合、酸素は、主に肺の毛細血管の壁を通して血液中に取り込まれ、血液中のヘモグロビンが輸送の担い手となって、最終的には、体を構成する各組織の細胞に供給されていますね。

これに対し、植物にはこのような循環系と酸素の担い手は備わっておりません。したがって、酸素は海綿状組織などに典型的な細胞間隙を通って拡散し、内部の細胞の表面に到達します。細胞を取り囲む原形質膜は比較的容易に酸素を透過しますので、酸素は溶存酸素の形で細胞質中のミトコンドリアの表面に到達し、次いでミトコンドリア膜を介して更に内部に取り込まれ、呼吸の過程に利用されることになります。
細胞間隙が少ない領域では、細胞表面から取り込まれた溶存酸素が濃度平衡の仕組みで細胞から細胞へと輸送され、酸素を消費する部分に供給されるものと思われます。

なお、植物の組織構造について調べて理解して頂きたいのですが、一般には、太い木の真ん中などは呼吸活性の高い組織で構成されておりません。
また一方、植物には維管束系が発達しており、根から葉肉細胞への水分の供給と、光合成産物の葉から茎や根への輸送などの機能を担っており、このような系が酸素の輸送に寄与していると考えるのは自然だと思います。

以上、簡単な答えになってしまいましたが、この質問に関係した詳しい回答が本コーナー(登録番号1256)に用意されていますので、そちらの方もご参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2008-12-12
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