一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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キャベツに含まれるビタミンUとイソシオチアネートについて

質問者:   一般   N.I
登録番号1858   登録日:2008-11-28
キャベツに含まれるフィトケミカルについて調べています。
ビタミンUとイソシオチアネートの効果は 加熱した場合は減ってしまうのでしょうか?
ビタミンUは水溶性と理解しておりますが、イソシオチアネートはどうなのでしょうか?
ネットなどで調べましたが、いろいろな記述があり、どの情報が正確なのか判断に迷っています。
お忙しいところ恐れ入ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
N.I.さん

回答を差し上げるのが大変遅くなって申しわけありません。

ビタミンU(S-メチール-L-メチオニン)はアミノ酸の一種であるメチオニンの誘導体で、-COOH基をもっているために水に良く溶けます。1950年ごろチェ二―(Cheney)と云う人がキャベツのジュース中の胃潰瘍防止作用物質として同定したようです。この研究者の報告によると、加熱したジュースは医学的に無効だとのことですので、この物質は熱には弱いのだと思います(最近、ビタミンUを安定化して使用する試みが盛んに行われているようです)。

イソチオシアネート(イソシオチアネートは誤り)は、グルコシノレートと呼ばれる配糖体がミロシナーゼと呼ばれる酵素の働きで分解されて作られるキャベツ(アブラナ科植物)のジュースの中の成分の一つです。なお、グルコシノレートとミロシナーゼは細胞内の別の区画に存在しておりますので、組織が破壊されて出来るジュースの中で初めて出会うことになります。この化合物は水溶性ですが、その生成過程はここで述べたように複雑ですので、ジュースの中のイソチオシアネート濃度は加熱によって大きく変化するのではないかと思います。

以上は私が調べたことですので誤りがあるかも知れません。この2つの化合物については医学や料理学の方でよく調べられている模様ですから、そちらの方を探ってみられることをお勧めします。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2008-12-12
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