一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

カルビン・ベンソン回路の遮断実験について

質問者:   高校生   TOURU
登録番号1906   登録日:2009-02-03
カルビン・ベンソン回路の遮断実験で、
「十分な光の条件下で緑藻に14CO2を10分間供給して光合成させると、PGAとRuBPの分子のすべての炭素原子の位置に14Cが一様に分布した。この状態で急に光を遮断し、14Cを含むPGAの量を経時的に測定すると、PGAの量は一時的に増加したが、その後減少した。」
とあるのですが、最初の増加については回路から理解できるのですが、その後の減少について理解できません。調べてみたらPGAが呼吸で用いられるからという説明もあったのですが、もしそうであるとしたらそれにはどのような意味があるのでしょうか。よろしくお願いします。
TOURU さん

このコーナーに質問をありがとうございました。

PGAとRuBPの分子のすべての炭素原子に14Cが一様に分布している状態で光合成を停止
させ、放射ラベルされたPGAの暗黒下での消長を調べると“その量は一時的に増加したが、その後減少した”と云うことですね。
明暗切り替え直後にPGA量が一時的に増加するのは、光エネルギーの変換によって作られる化学エネルギー(ATPや還元力)がカルビン・ベンソン回路で使われるのはPGAを消費する反応段階で、PGAを形成する反応自体は暗反応あることに符合するわけですね。

暗黒下でのその後の減少については幾つかの原因が考えられますが、PGAなどの炭素数3個の化合物は呼吸や醗酵における解糖過程の中間産物と共通しますので、蓄積されたPGAが呼吸の基質として利用されるのではないかとするのは妥当だと思います。
ただし、光合成と解糖が進行するのは細胞内の異なる区画ですので、このことが可能になるためには何層かの膜を介した直接的または化学変化を経てのPGAの輸送が必要です。細胞内小器官間の物質輸送について考えてみて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2009-02-10
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内