一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アンモニア態窒素、硝酸態窒素はどこで主に代謝されるのでしょうか。

質問者:   会社員   しげ
登録番号1915   登録日:2009-02-18
宜しくお願い致します。
根から吸収されたアンモニア・硝酸態窒素は、アミノ酸をへてタンパクなどに取り込まれるのですが、アミノ酸への代謝は主に根で行われるのでしょうか?あるいは葉でしょうか?
特に硝酸態窒素の還元は光が必要ということですが、葉面からシグナルがきて根で主に還元が起こるのでしょうか。
しげ 様

本コーナーに質問をお寄せ下さりありがとうございます。この質問には理化学研究所・植物科学研究センターの榊原 均博士から以下のような回答をいただきました。
ご参考にして下さい。


(榊原博士の回答)

植物は窒素栄養を根から吸収しますが、吸収する主な形態は硝酸イオンもしくはアンモニウムイオンです。
硝酸イオンは、光合成の反応で生ずる還元力(電子)を利用して、アンモニウムイオンに還元されます。アンモニウムイオンはアミノ酸(グルタミン)の一部として取り込まれます。この一連の反応のことを窒素同化といいます。窒素同化は複数の酵素の働きによって行われますが、これらの酵素は根にも葉にも存在することがわかっています。つまり窒素同化は根でも葉でも行われています。

葉では、葉緑体の中で行われる光合成反応で強い還元力が生じますので、それを窒素同化に直接利用しています。では光合成をしない根ではどのようにしているのでしょうか?それは、葉で光合成反応によって作った糖(スクロース)を、篩管(しかん)という輸送管を通して根に運んで、根の細胞内でそれを別の化合物に代謝していく過程で生じる還元力を利用しているのです。


根と葉もどちらで主に窒素同化が行われているかについては、植物の種類や生育環境によっても違ってきますので一概には言えませんが、一般的には葉で行われる窒素同化の方が盛んといえます。

榊原 均(理化学研究所・植物科学研究センター)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2009-02-27
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