一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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松かさからどのように種がでるのか

質問者:   会社員   パシリアーノ
登録番号1922   登録日:2009-02-22
松の種子には羽があり風媒花だと聞きました。
松かさは、種子が風に運ばれる前に地上に落下しているように見えますが、その状態から種子は風に運ばれるのでしょうか。
それとも、地上に落ちた松かさは、種子が飛散した後の残骸ののでしょうか。
教えてください。
パシリアーノ さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

マツ科の植物は裸子植物で、種子の元となる胚珠が、変形した葉(胞子葉といいます)の上にむき出しにつく特徴を持っています。

裸子とは胚珠が心皮(葉の変形したもの)などで包まれず、保護されていないで「裸」であるという意味です。「マツ」の雌花は、鱗状の胞子葉が密に集まった球状(球果)をしていますが、各胞子葉の根元に胚珠が2個ずつついています。

4月から5月にかけて雄花から花粉が飛んでくるころの球果は胞子葉が少しばかり開いていて花粉が入り込めるようになっていますが、花粉が入ると球果はしっかりと閉じて、翌年の夏頃まで胚珠と花粉を閉じこめます。その間、球果が成長するとともに胚珠内に出来た卵細胞と花粉から出来た精核とが受精して種子を形成します。

種子形成が終わって乾燥期に入ると球果(の胞子葉)は開きはじめ、やがて乾燥して完全に開くと翼のついた種子は風に飛ばされ散っていきます。球果は種子が飛ばされる頃はまだ枝についているのが普通ですが、やがて離れて落ちます。それが「松ぼっくり」あるいは「松かさ」で、種子の飛散した後の残骸とも言えます。松かさの乾いた胞子葉(鱗片葉)を注意深く切り取って見ると、基部に種子がついていた痕が2つ並んでいるのを見ることが出来ます。また、虫害などでまだ緑色の球果が落ちていることもありますが、それをナイフなどで解剖したら種子を見ることもできると思います。

JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2009-02-27
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