一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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どんぐりなどの結実の周期

質問者:   会社員   パシリアー
登録番号1923   登録日:2009-02-22
以前、ブナの森の観察会に参加した折に、講師の方から
「ブナの木は7年程度の周期で多量に結実する年がある。小動物が食べきれない実が発芽し、実生更新の機会を増やすためである。」と説明がありました。

そこで、ブナに限らず、コナラ類や、トチノキ、自生するクリ等の堅果をつける樹木にもそのような性質があるのでしょうか。
パシリアー様

みんなのひろばへのご質問有難うございました。

樹木が毎年欠かさずに実を付けずに何年かおきに実をつけることに関して、パシリアー様が聞かれたような解釈をよく聞きかされますが、そのことが、その植物の繁殖に役立っていることは事実としても、植物がそのことを目的として何年かおきかに実を付けているとは思えません。何か生理学的な理由があってのことと思います。

毎年花を咲かすことの出来ない理由の一つは、花を咲かせて実を稔らせるのには、かなりの消費を強いられるので、花を咲かせた翌年には、樹木の体力が続かないということがあげられます。もう一つは花を咲かせるためのシグナルがある年とない年があるということも考えられます。

東南アジアの森林で、数年に一度だけ多くの種類の樹木が一斉に開花することが知られており、長年の観察結果から、乾燥がシグナルの第一候補に挙げられています。この地方では乾燥があることは稀ですが、その稀に起きる乾燥が開花を引き起こすと云うことです。

この質問に関係の深い質問が過去にあり(登録番号1844)ますので、是非参考にして下さい。山を歩いていて気付くことですが、ある植物が花盛りになる年には、他の植物も花盛りになることが多いようです。種類によらず、花を咲かせる年には花を咲かせ、咲かさない年には咲かさないという一斉開花の現象は日本であります。

と云うことで、ご質問の植物すべて実をつける年と付けない年があります。登録番号1844の質問の回答の中でも触れていますが、日本植物生理学会監修の「花はなぜ咲くの?」(植物まるかじり叢書3)の中でも一斉開花の問題が取り上げられていますので、参考にして下さい。この答もこの本を参考にして書きました。
JSPPサイエンス・アドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2014-05-08
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