一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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樹木の放電

質問者:   一般   たえこ
登録番号1930   登録日:2009-02-27
とある雑誌(生物や樹木の雑誌ではなく、一般誌です)で、以下のような文章を読みました。こうした事実は確認されているのでしょうか。

「樹木には電気が流れており、周囲の空気の状態(電位)の差に応じて放電される。通常、エネルギーは物体の尖った先から発せられる傾向があるため、樹木の放電は葉の先端で起きると考えられる。松葉はちょうど放電針のような形をしている。樹木が放電を行うと、オゾンが発生し、オゾンはすぐに分解されて新鮮な酸素になる。こうして森では爽やかな空気が作られる」
たえこ 様

ご質問をありがとうございました。

先ず、“森では爽やかな空気(新鮮な酸素)が作られる”について言えば、森で作られる“新鮮な酸素”は、ほとんど全て植物の営む光合成に由来しているのが真実だと思います。

ところで、植物の生理作用の進行には電子やイオンの流れが伴っておりますので、植物をめぐって種々の電気現象が期待されます。例えば、植物が電気刺激に対して“屈性”や”傾性”を示す現象は古くから報告されています。また、電場・空気中のイオン・放電(例えば自然現象としてのカミナリ放電をも含めて)などの電気現象の植物の生育に及ぼす効果などについても多くの研究があります。しかし、通常の生理条件下で植物体の表面から空気中へ放電がおこり、そのエネルギーでオゾンが形成されていることは考えにくいと思います。

このことに関連して更に詳しいことがお知りになりたいようでしたら、改めてご質問をお寄せ下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2009-03-10
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