一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物を水中に入れた場合、なぜ気孔が閉じるのか

質問者:   大学生   aya
登録番号1949   登録日:2009-04-02
私は徳島大学4年生で中学校理科を目指しているものです。
教員の試験の中で模擬授業といって、
10分間面接官の前で授業するのですが、
練習の際に以下のことを質問され答えることができなかったので、
教えていただけないでしょうか??

『植物を水中に入れた場合、なぜ気孔が閉じるのか。
 また、その仕組みについて詳しく説明せよ』

よろしくお願いします。
aya 様

本コーナーに質問をありがとうございました。この質問には九州大学で気孔開閉の仕組みについて研究をされている島崎研一郎先生から回答をいただきました。ご参考にして下さい。水に浸した葉の気孔の開閉については良くわかっているとは言えないようですので、ご自分で確認して見られることをお勧めします。


(島崎先生からの回答)
まず、植物を水につけたとき気孔がどうなるか、明確に記述したものをわたしの手元にある4冊の気孔の専門書では見いだす事が出来ませんでした。従って、植物を水につけると気孔が本当に閉じるのかどうか疑問です。また、そのとき、光の有無や水温によって反応が異なる可能性、植物の状態や種類によって違う可能性が考えられ、明確に答えることは困難だと思います。論文がまったくないのかといわれると自信はありませんが、少なくとも専門的教科書レベルでは一致した見解が得られていないと考えるのが正しいと思います。

ところで、もし、水につけたとき、何らかの理由で気孔が閉じたのであれば以下の事が推測されます。(1) 光が当たってなくて、葉内のCO2が外に出て行けず濃度が上がって気孔が閉じた。葉内部のCO2濃度の上昇によって気孔が閉じる事は良く知られています。(2) 水中では酸素不足になり呼吸によるATPの供給が低下し、気孔が閉じた。気孔が開くにはATPが必要とされ、その多くは孔辺細胞に良く発達したミトコンドリアから供給されます(葉緑体からのものより多い)。光が当たっていなければ、光合成による酸素発生も有りませんから(1)(2)の相乗的効果がでるのかも知れません。

島崎 研一郎(九州大学大学院理学研究院生物科学部門)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2009-04-09
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