一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉緑体のヨウ素デンプン反応(オオカナダモ)

質問者:   教員   KS
登録番号1992   登録日:2009-06-11
 充分光を当てたオオカナダモの葉を,脱色,ヨウ素液に浸し,青紫色に反応した葉緑体を顕微鏡で確認する実験がございます。中学校の教科書に写真入りで載っている定番の観察なのですが,どうも再現性が低いため,困り果てております。
 昨年は,金属製の深さ3cmほどのバットに水をオオカナダモを入れ,植物用の蛍光灯を至近距離で一晩照射したところ,教科書の写真のように,葉緑体がしっかり青紫色になっていることが確認できました(ヨウ素液に浸した時点で,葉が黒っぽく変色しているのが肉眼で確認できました)。当時は,蛍光灯を当てる距離がポイントか!とぬか喜びをしておりました。
 ところが,今年同じ方法で行ったところ,全く青紫色の反応が見られませんでした。植物の個体差かと,別の店でカナダモを購入しても同様の結果でした。CO2の濃度かと思い,炭酸水を薄めて加えても同じ。

 そもそも,自然の条件下では,カナダモの葉緑体全てが青紫色に反応するほどデンプンが生成することがないのかも知れませんが,教科書に載っている以上,同じものを実物で観察させたいと思うのが親心でございまして…。

 ご助言いただけると幸いです。
KS さん

質問をお受けしました。
私自身はこの材料でデンプン生成の実験をしたことがありませんので、一般的に考えさせて頂くことにします。
1)心構え:この材料ではデンプンの蓄積が容易に観察できることがよく知られており、何よりも、昨年、先生が検出に成功されておられるので、絶対にうまく行く筈だと思って取り組んで下さい。
2)材料:光合成が活発に行われていることが前提条件ですので、若い葉の部分を用いるなど、実験に使われる材料について十分に吟味する必要があると思います。
3)反応条件(光強度・温度・二酸化炭素濃度・照射時間):まずは光強度が問題になると思います。蛍光灯では弱すぎるかも知れません(でも、昨年はうまくいったのですね)。照射によって水温が高まることが問題になる可能性があります。長時間の光照射の場合には、水の循環を考えることが必要かも知れません。
4)検出:クロロフィルの脱色はきちんとできていますか。ヨウ素液の反応性について問題はありませんか。

以上、助言にはならないかも知れませんが、思いつくままに問題点を書かせて頂きました。何れにしても、生徒の前で再現するよう確かな技術として仕上げておく必要がありますね。
オオカナダモ以外の材料ではいけないのでしょうか。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2009-06-15
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