一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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オオバコの子房と花弁の位置関係について

質問者:   一般   Plantago
登録番号2002   登録日:2009-06-24
今の季節、オオバコが花を咲かせていたり、果実を付けていたりするのをよく見かけます。オオバコの一つ一つの花は小さいですが、開花が進むにつれて徐々に変化していく様子など、観察していて面白いです。今回、オオバコの花を観察していて、果実と花弁の位置関係について気になることがあり、ご助言を頂きたく、質問させて頂きます。
オオバコは、図鑑などでは、子房上位となっています。確かに、観察してみると、ガクより上に、子房あるいは果実があるように見えます。一方、4枚の花弁は、子房あるいは果実の先端についているように見えます。
果実が熟して、果実の上半分が外れ、種子が出てくる頃に注目すると、脱落してしまう果実の上半分の先端に、花弁や枯れた雌しべなどが見つかります。
このような状況から…

「①オオバコの場合、花弁の基部は子房全体をすっぽりと包み込んでいて、完全に合着し、一体化している」
「②結実期に、果実のように見えるものは、厳密には、花弁に由来する組織を表面にまとっている」

というふうに考えました。
このような理解で問題ないのかどうか、ご教示頂けますと有難いです。宜しくお願い致します。また、もしこのような理解でよい場合、このような例はほかにもいくつもあるのかどうか、関心がございます。
(つぼみから開花・結実まで時系列にそって顕微鏡で観察などすれば良かったのですが、顕微鏡が手元になく、しておりません。ルーペでの外見観察のみです。申し訳ありません。)
Plantagoさま

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。なかなか詳細な観察をなさっておられるので、頂いたご質問は、心して取り扱わせて頂かなければと思います。勿論、私には手に負えないので、ご質問の回答はは京都大学の戸部 博先生にお願い致しました。以下が戸部先生からのご回答です。戸部先生のご回答の中にも有りますが、追加の質問は大歓迎ですので、御遠慮なく仰って下さい。


戸部先生からのご回答
オオバコの花と果実について、質問の内容を読ませていただきました。基本的に質問されてきた方の理解は正しいと思います。ただし、花筒が完全にも不完全にも果実と合着して一体化してしまうことはありません。外見上そのように見えるだけです。花筒と果実は離れています。ただ、どれぐらい長い間、花筒が果実を包んで残っているものか確認するために、オオバコを探して昼食後キャンパス内を少しだけ散歩してみましたが、見つけられませんでした。花弁やそれが合着してできた花筒は、本来果実を包んで保護するのが目的ではなく、昆虫や鳥を呼び寄せたり、やってきた昆虫が花の奥深くへ出入りする際にランディングする場所です(ただしオオバコの花は風媒花ですので昆虫や鳥を呼び寄せる働きはありません)。オオバコの場合、風媒花であっても、花筒ががく片よりも少し大きく発達し、若い果実が成長する間(多分虫に食べられないように)保護する役割もあるようです。
これと似たような性質を持つ花は、すぐには思い浮かびませんが、少しはあると思いますが、花弁の本来の働きが上で述べたようなものであることから、そう多くの例があるようには思われません。
とりあえず、すぐにお答えできるのはこの程度です。
また追加で質問があるようでしたら、遠慮なくお届けください。

戸部 博(京都大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2009-07-08
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