一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ひまわり・菜の花の養分

質問者:   会社員   地球
登録番号2008   登録日:2009-07-02
北海道の美瑛において、ひまりや菜の花をすきこみ、畑の肥料にしているそうです。肥料にするということは、それなりの栄養効果があるために肥料にしていると思うのですが、実際にひまわり・菜の花のどんな栄養分が作物を育てるのに役立っているのか教えてください。
地球 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
目的とする作物を栽培する前に、圃場一面に成長が早く一定の特質を持った草本植物を栽培し、成長が盛んな時期に収穫することなく土壌に直接すき込む農法は昔から行われていたもので、これに利用する植物を緑肥作物とよんでいます。今ではあまり見かけなくなりましたが、かつては田植え前の春の水田はレンゲの花が一面に咲いていたものです。レンゲは緑肥として使われていたのです。緑肥は土壌中の微生物によってゆっくりと分解され、作物が吸収できるような栄養分(主に窒素ですが、緑肥も植物ですから生育に必要なすべての栄養分をもっています)に変換されるばかりでなく、腐植など有機質の源ともなりますので土壌の通気性、通水性を高めます。さらに、有機質は土壌中にある未利用の栄養分を吸着する働きがあり、後に植える作物への栄養供給源ともなっています。レンゲ、シロツメクサなどのマメ科の植物は、共生する根粒細菌が空中窒素を固定しますので窒素源として、また、ヒマワリなど多くの緑肥作物は共生する菌根菌の作用でリン酸を蓄積しますので低リン酸土壌での有効なリン酸源としての働きもありますし、マリゴールドは土壌中の有害線虫を駆除する働きがあり有用な緑肥とされています。どの緑肥作物を利用するかは、それぞれの土壌条件や目的によって慎重に決める必要がありますが、シロカラシ(菜の花)やヒマワリなどは花が鑑賞対象になりますので景観作物をかねた緑肥とされています。近年、化学肥料や農薬を多用する従来農法がいろいろな問題を提起しているため、緑肥、堆肥、畜産廃棄物などを利用して土壌改善(土つくり)を行い、輪作、多種作物の同時栽培などを通して化学肥料や農薬を使用しない有機農法が注目されています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2009-07-03
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